緊急発令！「再会」 ページ33
「変わったな」
そう言う彼は私の顔は見ずに歩き続ける。
何処からか「主それ誰ー！？」という聞き慣れた声は聞こえるが、今の私はそれに応える余裕が無い。
『本当⋯？轟君、お世辞⋯？』
「いや、本心なんだが。」
『そっか⋯、うん、ありがとう。』
ああ、と小さく呟いた彼が言葉を付け足した。
「俺、Aの事見下してたんだが、見直したぞ。悪かった。正直今はビビってる。」
『私なんかがビビる対象に！？』
驚きのあまり突っ込んでしまったのだが、轟君はいつものポーカーフェイス。次にどう切り出して良いのか分からず、視線をウロウロとさせているととんでもない勢いで清光と長谷部が此方に走ってくる。
あの二振は以前に鶴丸主催の「主の身の危険を察知する速度ランキング」でワンツーフィニッシュの経歴がある為に今の状況では轟君が何をされるか分からない。
慌てて顔を上げた私の目に飛び込んで来たのは先程突き放した前下がりボブの少女の顔。正確には轟君の顔の横にある、も付くのだが。
『お、お茶子⋯』
「A！大丈夫！？何があったん！？」
「落ち着いてお茶子ちゃん。“個性”を使い過ぎたのね？とりあえず轟ちゃん、彼女を降ろしましょう。斬られてしまうわ。」
後ろには梅雨ちゃんも、いや、1-Aメンバー全員がいた。
何故ここに？
疑問が顔に出ていたのか、イヤホン部分で上鳴君の首を締めていた響香が溜息と共に答えてくれた。
「お茶子と梅雨ちゃんから連絡もらって、皆駆け付けたんだよ。」
『何でそこまで、だって、たった数ヶ月の付き合いで⋯』
「「だからさ！！」」
思わず出た、素直な言葉に元クラスメイトは声を揃えた。
「たった数ヶ月、だからこそだろ！」
「皆、Aちゃんの事心配してたんだよ！」
「いきなり消えるからビックリしたけど、」
「俺ら、Aの事なんも知らないって気付いてさ！」
「コイツら、お前の事知ろうと足掻いてたぜ。」
「「いや、お前もだろ！バクゴー！！」」
「うるっせえゴルァァァ！！！」
『フフッ、なにそれ⋯！』
思わず溢れてしまった笑みと涙。それは皆を戸惑わせるのには充分で、私の周りに皆が集まって来てしまった。
大方の遡行軍が風に吹かれる塵と化し、男士達は清光と長谷部の元に集まっていた。それを一瞥した私は未だ痺れの残る右半身を庇いつつ自分の足で立ち上がる。
そして、1-Aメンバーに頭を下げた。
終わり
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ユリ(プロフ) - 面白いです。続き気になります。更新頑張ってください (2020年3月3日 12時) (
レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
もへ(プロフ) - SHINOさん» コメありがとうございます！亀更新ですが今後もよろしくお願いします！ (2019年4月3日 6時) (レス) id: 3a81a59490 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 早く続きが見たいです！頑張ってください (2019年4月2日 23時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もへ | 作成日時：2018年12月10日 14時
