ぜんぶクリスマスのせい

11/30 Mon. ページ9

週末も明けてまたいつもの一週間の始まり。

今日は康二が俺の家に来てるはず。

月曜日はサークル終わりの康二が俺の家に来て、飯を作ってバイト終わりの俺を待っててくれる。
どっちが決めたわけでもなく、３年間一緒に過ごしてくうちに自然とこんなルーティンができたんだけど。


疲れた体で鍵を開けるとリビングからとてとてと足音が聞こえてきて、にっこり笑顔の康二がぴょこっと顔を出した。


「翔太くんおかえり〜バイトお疲れ様。」


『ただいま。』


「あ！からだ冷えてるやん！もう１２月やのにこんな薄着やからやで…
はい、お風呂沸かしてるから先に入ってき？」


そう言って着てたカーディガンは回収されて、代わりに渡されたバスタオル。
湯舟には俺お気に入りのシンプルな柑橘系の入浴剤も入っていて。

俺ん家のことはすっかり熟知してる康二。

…あれ、ここって誰ん家だっけ。


俺より康二の方がこの家のこと詳しい気する。



風呂もはいってリビングへ行くと、康二がテーブルにご飯を並べている最中だった。


「おかえり。ちゃんとあったまったん？」


『ん。』


「よかった。俺先に入っちゃってん、一番風呂もらってごめんなぁ？」


そんなのいまさらなんとも思わないのに。

三年経ってもそんなことで謝る康二にいいよとだけ告げて、２人でいただきますをする。


『…うわっ！うま！！』


「ほんま？よかった〜！
このレシピ、だてに教えてもらったの！」


『…は、涼太？』


「うん！そういえばだてと一回生の時にたまたま同じ授業とってて喋ったこともあってん！
この前翔太くんのサークルで会った時は気付かんかってんけど。」


『ふーん。』


「あの後学校でたまたま会ったときに声かけてくれて、LINE交換して〜って感じ！
翔太くんがよく言ってる幼なじみってだてのことやってんなぁ〜。」


『うん。まぁ。』


「性格は全然似てへんけど…ふふっ、確かに雰囲気は似てるかも。
口数は少ないけど、面白くて優しいとこ。」


そう言って口に手を当てて可愛く笑う康二。


…ん？可愛く？



「…？翔太くんどうしたん？」


『…康二って前からそんなだっけ？』


「そんなって、どんなん？」



『なんか…可愛くなった。』




「は？」



ぽかんと、口を開けたままの康二。
それを見て俺もはっとする。



『…や、冗談だけど。』



何言ってんだ俺。

いやまじで、何言ってんだ俺。

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