ぜんぶクリスマスのせい

12/24 Thu. ページ37

だらっと背中に伝う汗と頭痛で目が覚めた。


ぼーっと天井を見ながら、昨日のことを思い出す。


確か、サークルサボってふっかの家に来て昼から宅飲みして…

そうだ、そのままこたつで寝たんだ、俺。



『…あっつ…』



つけっぱなしにしてたこたつのせいで背中の汗が気持ち悪いけど、

さっと立ち上がれない程には頭痛と胃もたれがひどい。




『…康二、何してるかな…。』



あの写真部のふたりはふっかと照の高校の同級生で、写真部で康二とも仲が良いってことは昨日ふっかに教えてもらった。


ふたりの知り合いだから心配いらないみたいだけど、それよりも気になるのは康二がまた泣いてないかなってことで。



『…泣かせてんのは、俺だけど…』



「康二くんが心配？」




ふと隣を見ると、ソファーで優雅にコーヒー飲んでる涼太。




『…涼太、二日酔いは、』



「する訳ないじゃん。翔太たちと違って自己管理失敗したことないし。」



ふっと微笑んでテレビのニュースを見る涼太は、ほんとに同い年で幼馴染なのか。


…あ、そういえば。




『…昨日のあれ、どういう意味だったんだよ。』



「昨日？」



『…康二は大丈夫だよってやつ…』



「あー…

どういう意味だと思う？」



そう言って俺とは目を合わせずにコーヒーをまた飲む涼太は、少し笑っていて。




『…康二には、俺の他に助けてくれる男がいて、』



昨日の２人も、目黒とラールだって。



『俺がいなくても、だいじょうぶって…』




「…そう思うの？」



『…。』





涼太に問われて黙るしかできないのは、そう思うけど思いたくない往生際の悪い俺がいるからで。



康二が一番に頼るのは俺が良くて。


嬉しい時は、隣で一緒に笑いたくて。


康二が泣いてる時は…そばにいて、抱き締めてあげたくて。





『…はー、諦めわりぃ…。』






“――――では、続いてのニュースです。”




しばらく沈黙が続いた時、不意にニュースの声が耳に入ってきた。




“本日はクリスマスイブ。都内では各スポットでイルミネーションイベントが開催されております。

街にはLEDライトで点滅され、夜には―――――”





『…。』



ニュースで取り上げられたイルミネーションは、ほんとだったら今日の夜に康二と行こうとしていた有名な場所で。


キラキラと光るイルミネーションは、今の俺にはテレビ越しでも眩しいくらいで。




「…ねぇ翔太。」

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