＊ ページ25
その後のバイトなんかはかどる訳なくて。
珍しくミスばっかりする俺を店長が心配して早めに上がらせてもらった。
ひとりの家に帰ってもイブのショック思い出して気分落ちるだけなんだけど。
今年のイブはひとりだし、
康二は目黒とラウールとイブ過ごすし…
…康二のこと困らせちゃったし。
はぁ…。
もう何回目か分からないため息をついて家に着くと、マンション前でちょこんと座る小さな頭が見えた。
『…康二？』
「あ…」
『康二…なんでここに、』
「翔太くんっ…！」
『うぉっ、』
声を掛けるとやっぱりそれは康二で、一目散に俺の胸に飛び込んできた。
ぎゅっと抱き締めたその身体は冷えきっていて。
『お前、いつからいたの？こんな薄着で…
来るなら電話すれば、』
「ごめん翔太くん…。
俺とのイブ楽しみにしてくれてたんやろ？」
『…え、』
「ふっかさんから聞いた…。
そんなん何も知らんくて…ごめんなさい…。」
か細く言葉をこぼす康二の手は震えてて。
俺の裾を掴むその手に自分の手を重ねた。
「…でもな、翔太くんがイベント苦手なこと知ってたから…。
今年は一緒におらん方がいいかなって思っててん。
めめとラウとの約束もあったから、これで翔太くんの重荷にはならんかなって…。」
『…重荷？』
「去年言ってたやん…
「イブをカップルで過ごすとか誰が決めたんだ」とか、
「プレゼントとかデートとか全部重荷なだけ」やって…。」
『……え、言ったっけ？』
「言ったよ！僕覚えてるもん！」
やばい、まじで記憶にない。
けど去年までの俺は確かにそんなこと考えてた気がする。
プレゼントとかせがみだす彼女がうっとうしくなって、一緒にいるのも面倒くさいって思ってたし…。
『…いや、俺最低だな。』
「そやで…いまさら気付いたん？」
胸の中にいる康二の顔を覗き込むとぷくーっと頬をふくらませてて。
涙目で不機嫌そうに眉を寄せる康二が今日も可愛い。
『…ごめん。
でも今年は、康二とだったら一緒にいたいって本気で思ってた。』
膨れたほっぺをつまんでみると、顔を赤くして「むぅ〜…」と不本意そうな声が漏れる。
「…めめとラウの予定、夕方までにしてもらってん。」
『え？』
「やから、夜からやけど…僕と一緒に過ごしてくれる…？」
こてんと首を傾げた康二は相変わらず可愛くて。
高鳴る胸そのままに、返事の代わりに康二をまた抱き締めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 887人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪 .(プロフ) - ポンさん» ポンさん初めまして。暖かくて優しいコメント頂きありがとうございます。なんと…！私の作品がポンさんの心を少しでも動かせているなら本当にとても嬉しいです（ ; ; ）貴重なご意見もありがとうございます。参考にさせて頂き、次回作も楽しんで貰えるよう頑張ります！ (2022年4月17日 23時) (
レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
ポン - はじめまして！主様のお話を拝読してなべこじの沼に落ちました！もう何度も何度も読み返しております。日頃こういったコメントをお送りすることがないので不慣れで申し訳ありません…！もしも機会がありましたら、主様のなべこじをこれからも拝読したいです！ (2022年4月17日 20時) (レス) id: c40218ffb2 (このIDを非表示/違反報告)
雪 .(プロフ) - 比呂さん» 暖かいコメントありがとうございます…！なべこじ担に楽しんで貰えるように制作したので、優しいお言葉頂けるととっても嬉しいです(^^*)私も大学生なべこじが大好きマンなので、続編や新作なべこじ作るカモです…！大きな励みになる言葉をありがとうございました！; ; (2022年3月15日 22時) (レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
比呂(プロフ) - バレンタインの番外編も何度も読み返してます。康二くんの描写も可愛いし、両思いまでの二人のところもあまりに切なくて。最後は素直に伝える翔太くんもかっこよくて。とにかく大好きです。突然長々とすいませんでした。 (2022年2月23日 22時) (レス) id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
比呂(プロフ) - はじめまして。ぜんぶクリスマスのせいを何度も何度も読み返している者です。なべこじ担の私ですが、このお話でなべこじのお話を読むことにハマって今でも一番好きなお話です。→続きます。 (2022年2月23日 22時) (レス) @page46 id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪 .
| 作成日時：2020年12月12日 16時
