12/8 Tue. ページ16
いよいよ寒さが本格的になってきて。
今週に入って暖房もつけるようになったし、大きめのこたつ布団も新調した。
大学から帰ってきてまず洗濯を取り込むついでに窓についた結露も拭いて、朝にもかけた掃除機を念のためもう一度かけ直した。
お風呂を沸かして、この前と同じ柑橘の入浴剤をいれた。
ベッドメイキングなんかもして。
とにかく思いつくことは全部した。
…つまり、一週間ぶりに康二を迎え入れる準備は万端ってこと。
この前の涼太の言葉を受けて彼女になった康二とちゃんと向き合うって決めたんだけど。
大学の授業でも食堂でも、隣にいる康二は友達じゃなくて俺の彼女なわけで。
意識した途端に恥ずかしいというか照れ臭くなったというか。
『…はぁ、ほんとどうしたんだろ。』
そんなタイミングでインターホンが鳴り、どくんと心臓が飛び跳ねる。
恐る恐る扉を開けると、そこにはマフラーに顔をうずめた笑顔の康二。
『…よう。』
「えへ、お邪魔します〜。
久しぶりやなぁ翔太くん家!あ〜翔太くんの匂いや〜。」
そう言った康二はふと部屋を見渡し始めて。
『?…なに?』
「いやなんか…
お家めっちゃ綺麗になってへん?」
康二が久しぶりに家に来るのが嬉しくてはりきって掃除しました。
なんてこんな今更こっぱずかしいこと俺が言えるはずはなくて。
『…あー、土日に大掃除した。
一応年末も近いし。』
「なるほどな!さすが翔太くん!
あ、ごはん食べてへんやんな?
材料買ってきたからすぐ作るな。」
納得したように頷いた康二は、キッチンで準備を始めると手際よく野菜を切っていく。
鼻歌を歌ってる時は康二の機嫌がいい証拠。
本人は気付いてないと思うけど。
『俺も手伝う。』
「へ?なんで?」
『別に。2人でやった方が早いし。』
隣に立つと、じーっと見つめる視線を感じる。
それもそう。2人で自炊する時はいつも準備が康二で俺は片付け担当だから。
3年の付き合いで2人でキッチンに立つなんて数回しかない。
だけど今はなんとなくそんな気分。
「…ふ、ありがとお。じゃあ一緒に作ろ。
あーなんかあれやな!新婚さんみたい!」
……新婚…。
「…なんか言ってや。俺がシケたみたいやん…。」
『…や、それいいなって思って。』
「…へ?」
明らかに手が止まった康二の方なんか見れなくて。
言った俺がいちばん恥ずかしくて。
熱がこもってく顔をごまかすように、コンロに火をつけた。
887人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪 .(プロフ) - ポンさん» ポンさん初めまして。暖かくて優しいコメント頂きありがとうございます。なんと…!私の作品がポンさんの心を少しでも動かせているなら本当にとても嬉しいです( ; ; )貴重なご意見もありがとうございます。参考にさせて頂き、次回作も楽しんで貰えるよう頑張ります! (2022年4月17日 23時) (レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
ポン - はじめまして!主様のお話を拝読してなべこじの沼に落ちました!もう何度も何度も読み返しております。日頃こういったコメントをお送りすることがないので不慣れで申し訳ありません…!もしも機会がありましたら、主様のなべこじをこれからも拝読したいです! (2022年4月17日 20時) (レス) id: c40218ffb2 (このIDを非表示/違反報告)
雪 .(プロフ) - 比呂さん» 暖かいコメントありがとうございます…!なべこじ担に楽しんで貰えるように制作したので、優しいお言葉頂けるととっても嬉しいです(^^*)私も大学生なべこじが大好きマンなので、続編や新作なべこじ作るカモです…!大きな励みになる言葉をありがとうございました!; ; (2022年3月15日 22時) (レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
比呂(プロフ) - バレンタインの番外編も何度も読み返してます。康二くんの描写も可愛いし、両思いまでの二人のところもあまりに切なくて。最後は素直に伝える翔太くんもかっこよくて。とにかく大好きです。突然長々とすいませんでした。 (2022年2月23日 22時) (レス) id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
比呂(プロフ) - はじめまして。ぜんぶクリスマスのせいを何度も何度も読み返している者です。なべこじ担の私ですが、このお話でなべこじのお話を読むことにハマって今でも一番好きなお話です。→続きます。 (2022年2月23日 22時) (レス) @page46 id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪 . | 作成日時:2020年12月12日 16時