ぜんぶクリスマスのせい

＊ ページ39

Blue side


勢いそのままにふっかの家を飛び出してきたのはいいものの、康二がどこにいるかなんて分かるはずもなくて。


少しでも心当たりがある場所を、可能性がある場所をひとつずつ回ってくしかない。




康二のバイト先、よく行くカフェ、それから学校。


足早に探してみても、どこにも康二はいない。





『まじでどこ行ったんだよ…』







「…あれ、渡辺さん？」




背中から呼ぶ声に振り向くと、そこにいたのは目黒とラウールで。




『…お前ら、』





“…でも、先に約束しちゃってんもん。”




俺を怪訝そうに見るふたりをみて、この前の康二の言葉を思い出した。




そうだ、今日はイブで、俺と康二との約束は夕方からで…


それまで康二は、こいつらと遊ぶって言ってた。

三か月前からした約束とかで、康二のイブは埋められてたんだった。



それも忘れてすっかり康二のことを探し回ってた俺。






あれ、じゃあ…




「なんで渡辺さんがひとりでここにいるんすか。」




『っそれこっちのセリフだから、

…康二ほったらかして何してんだよ、お前ら。』




「…え、康二くんとまだ会ってないの？」



『…は？』



「…はぁ、ほんと何してんのあんた。」



大きくため息を吐いた目黒。



「まぁそれは康二くんも同じなんだけどね。」



小さく笑ったラウールはスマホを取り出した。





「結局似た者同士ですよね、あんたと康二くん。」



『…似てねぇよ、俺らは。』



「…うん、康二くんはあんたよりも可愛くて優しいんだけどさ。」



目黒が俺に近づいてきて、じーっと見下ろす。



「…康二くんも、こんな人のどこがいいんだろ。」



真っ黒なその瞳は少し揺れていて、それから少しずつ呟き始めた。





「…この前は、言いすぎたって…思ってます。」



『…この前って、』



「モールで会った日。

俺より先に出会って親友になって、康二くんと付き合うあんたが…羨ましかった。

そんなあんたが康二くんの前で女と歩いてたのが悔しくてむかついたから、あんたにも康二くんにもひどいこと言った。」



『…あの女は、』



「分かってるよ、そういう関係でもないんでしょ？あんたからも聞いたし。

でもそれ、康二くんには伝えてない。
たぶん今も勘違いしたままだよ、康二くんは。」



ズキン、と心が痛む。

康二は今の今まで、ほんとに俺のせいで苦しんでるんだ。


あの日、康二はどんな気持ちでいたんだろう。

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