私のお隣さん (ページ9)

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「気持ち悪い」

『吐くならトイレ行って』

彼の肩を持ちトイレへ案内する

こんなに酔ってる松村は

仕事で大きな失敗した時以来だ

松村をトイレに送って、

部屋にある、缶を片付ける

さすがにBARに長居するのは

私も辛くて、

まだ飲み足りない松村を連れて

私の家へ来た

明日も仕事だし、

どうせ泊まるんだろう。

トイレから戻ってきた松村は

酔いが回って目がトロンとしてて、

頬が赤い。

ネクタイを取ってシャツのボタンを外す

その仕草が色っぽくて

気が付いたら見入っていた

松村はソファに音を立てながら落ちて

もう寝てしまいそうな勢いだ

『寝るならベッドで寝な？』

声をかけると、コクリと頷いて

のそのそとベッドルームに移動した

『着替えなくていいの？』

『おーい』

『え、もう寝たの？ … わｯ』

急に視界が変わった

柔軟剤の匂いがフワッと香った

状況を整理して

彼の意外と厚い胸板を押すと

「痛い」

と、言われたものの

彼の胸板を押し続けても

腰に回っている手を解けなくて

彼の顔を見ると

気持ち良さそうに寝息を立てて寝ていた

そんなに抱き心地がいいのか

私にも睡魔が襲ってきて

意識が無くなるのに時間はかからなかった

誰かと寝るなんていつぶりだろう

こんなに暖かいっけ

何年ぶりかの人の温もりに

胸が苦しくなった

それも会社の同僚

酔った勢いとはいえ

明日も仕事なのに

松村は何を思っているのか

何を思って、

私を腕の中に引きずり込んだのか。