私のお隣さん (ページ36)

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「おい」

「無視すんな」

「ここでなにやってんの」

『式場でそんなこと聞いてくる人いるのね』

「そういうことじゃねーよ」

後ろからドカドカと追いかけてきては

アホみたいな質問をする奴はあいつしかいない

新婦との知り合いというのに

なんで私なんかの隣にいるのかと

疑問に思うのも束の間、

「ほら樹？迷惑そうにしてるじゃない」

綺麗な淡いピンクのドレスを見に纏い

先生と同じ香水の匂いを漂わせる

先生の隣が良く似合う

更に、樹とも知り合いだなんて、

少し親近感が湧いてしまう

「こんにちは、Aさんよね？」

そう私の名前を呼ばれ

身体が反応してしまう

「ちょっと、麗華

お前は主役なんだから戻れよ」

そうキツく言う樹は私の肩を抱き

麗華と呼ばれる人を冷たく見る

「ちょっと、そんな言い方しなくていいじゃない」

と、少し眉を曲げてヘラヘラと話す麗華さん

流石にそんな言い方は無いんじゃないかって

傍観者の私でも思ってしまう

「はやく旦那のとこ行けよ」

そう、私の肩を抱いたまま反対方向へ歩く

私の肩に置いてある樹の手は、

なんだか震えているように思えて

顔色を伺う

私の視線に気付いた樹は、

後ろを振り返り、

私の口に軽くキスをした

『ｯ、ちょっと、』

彼の身体をぐっと押すと

「いいから」

隙を見てちらっと後ろを見ると

そこにはまだ麗華さんが居て、

こちらを泣きそうな顔で見ている

誤解されたくないと思い、

樹と距離を取るために離れようとすると

腕を捕まれ、背中に壁の冷たさが伝わる

樹の目は、淋しそうに下を向いてて

麗華さんと同じ顔をしている

そんな2人の間に何も無いわけない

そう感じた私は

彼の手に指を絡める

驚いた反応をする樹、

照れたのか、少しニヤついていて

そのまま、また軽くキスをされる

「可愛いじゃん」

ほら、すぐそうやってドキドキさせる