私のお隣さん (ページ35)

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まだ肌寒い季節の中

華やかな式場に

たくさんの人が集まる

一際目立つドレス

そう、本日の主役

その隣にいる彼は

とても幸せそうな顔をしていた

「俺もはやく結婚してぇな」

『モテるんだから大丈夫でしょ』

隣で嘆く慎太郎の横で

私は彼とその奥さんへ拍手を送った

徐々に近づく彼は、

私と目が合うなり、涙を浮かべていた

軽く会釈をして少し微笑むと

また更に辛そうに笑う

私の目の前に立ち

何か言いたそうにする

『ほら、しっかりしてよ

お父さんになったんじゃないの？』

おちゃらけたように

彼の身体の向きを奥さんの方へ向ける

そして、私の気持ちをぶつけるように

彼の背中をグッと押した

ずっと堪えていた涙は

やっぱり引っ込まなくて

慎太郎の影に隠れながら

そっと流れた涙を拭いた

披露宴の会場の席まで用意されていて

有難いことに当時の生徒は私と慎太郎だけみたい

始まった新郎の挨拶

流暢に喋る彼を眺めていると

「ぇ、 A 」

声のする方を見ると

スーツを来た樹が立っていた

あの日から私の頭の中は

先生のことでいっぱいで、

彼と一線を越えてしまっていたことを

すっかり忘れていた

『、久しぶり』

「なんで会ってくれなかったんだよ」

『え？家来たの？』

「毎日行ったわ！

お前インターホン押しても出ねえし、

連絡先知らねえし、」

少し機嫌が悪そうに私をみる樹

貴方のことすっかり忘れてたなんて言えない

インターホンが壊れていることを伝えようとすると

「俺、慎太郎っつーんけど、

もしかして、ジェシーの友達、？」

そう、隣に座る慎太郎が樹に声をかけた

「え、？ジェシー知ってるけど、

…あれ？ジェシーのアイコンの奴！？」

なんだか2人に共通点があったみたいで

2人の会話が弾む

私のお説教は終了になった

なんだか気まずいけど、

まぁいいかななんて、

呑気に考えていた私は

本物の大バカ者だった。