私のお隣さん (ページ33)

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33' ページ33

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結婚もして、子供もいる

なんなら、すっごく美人だし

でも、

私に深い傷が出来たのには変わりない

私がどれだけ泣いたのかも変わらない

あの人は知る余地も無い

あの時のことが全て " 無駄 "

そう思ってしまうの。

ハガキの次は、白い便箋を差し出された

" 桑原 A 様 "

達筆な字と少し曲がった字列

誰からなのかがすぐ分かる

だけど、

その封筒を開くことは出来なかった

それを見た慎太郎は、

「無理に読めとは言わない。

けど、先生は待ってる」

待ってる、？

この手紙を読むことを？

私があの人を記憶から消すことを？

慎太郎の言ってることに理解出来ず

ただただ、並べられた封筒を

見つめることしか出来なかった

その後、痺れを効かせた慎太郎は

私がこの場では読まないと察して

カフェラテのお代を置いて

店から出て行った

私はもう一杯珈琲を頼む

湯気が経つコップ

やはり、読む気になれなくて

ただただ時間だけが過ぎ

珈琲ももう冷め切っていた

薄暗くなったのを確認してカフェを出る

手に持った白い封筒は

まだ綺麗なままで

そんなのを見ていると

私の汚さが際立ってしまう

手紙をぐちゃぐちゃにして

地面に叩きつける

すると

「ポイ捨て禁止」

私服姿の松村が目の前に居て

なんでここにいるのって疑問より

全部見透かされてるような気がして

なんだか

溜まっていたモノが全部流れてきた

私の背中を擦る手

何も話はしてないのに

察して何も聞かない松村に

私は甘えすぎている

『ごめん急に

どうしたの？ここら辺で用事？』

心配なんてして欲しくないから

わざと笑顔を作る

でも、そんなの彼には伝わらなくて

「お前ん家行ったんだけど

出てこないから探してた」

そういって、一昨日みたく、

私の手を絡めて歩き出す

でも、ひとつ違うのは

今日はゆっくり寝てた

とか

面白そうな本を見つけた

とか

お洒落なカフェに行った

とか