私のお隣さん (ページ31)

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「どうした、そんな慌てて」

綺麗な声

風に靡く髪

整った鼻筋

笑う横顔

全部が美しくて、

いつ見ても魅入ってしまう

「ほら、はやくおいで」

そう、私の特等席

彼の膝の上

少し骨ばった股だが

居心地良い

ドキドキする心を抑えたくても

抑えられなくて、

「また、ドキドキしてんの？」

髪の毛をかきあげられ、

見つめられる

この時間が私には至福で、

嫌なことを全部忘れられる時間

そう、

こうやって、頭を撫でられて

名前を呼ばれて、

「今日も、来る？」

頷く私に

微笑む先生

こんな時間が続けばいいのに。

でも、

時間より先に

貴方の方がダメだったみたい

貴方は急に私の前から消えた

私は用無しになった

だから、

私も貴方を必要としない

どうでも良くなった私は

慎太郎を利用した

" めちゃくちゃにして "

だなんて、今思えば

ほんと酷い女

けど、この気持ちを

どこにぶつけたらいいか分からなかった

そんな私を慎太郎は受け入れてくれて

嫌というほど、傍に居てくれた

先生とは真逆で

体型も

匂いも

仕草も

全部違う慎太郎に

私は甘えていた

ただ、1人になりたくなかっただけなのに

それだけなのに、

私を捨てた先生は

私の知ってる先生じゃなかった

" 誰だっけ？ "

あの時から、

私は貴方の遊び道具

ただの暇つぶし

" お前なんか好きじゃねぇよ "

捨てたはずの過去が蘇る

あの時の言葉も

行動も、行為も

繋いでいたはずの思い出が

全て崩された

立っていられないほどの

深い傷を負った私は

あの場を離れ、

このマンションへ引越し、就職をした

これが私の過去

過去であり、深い傷

まだ癒えてない傷を

抉り返さないで、

私を苦しめないで、

止まらない震えと涙

このまま目を覚まさないで

なんて、思っても

また私は過去に縋る