私のお隣さん (ページ26)

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情に甘えるのは良いとして、

社員が沢山泊まっているホテルの

廊下のど真ん中で

抱き合ってるなんて知れ渡ったら、

またリナさんに何をされるかわからない

離れそうにない松村に、

『松村、？離れよ、ね？』

と、小さな声で声をかけるが

私の肩におでこを置いていて、

首を振るもんだから、

髪の毛が首に当たって擽ったい

中々離れない松村に

諦めをつけ、

背中に手を回し、

" 大丈夫 "

と、伝える代わりに

背中をトントンに触る

すると、さっきより強めに腕を締められる腕

更に苦しくなって、

更に背中を叩く

ようやく離してくれた松村の顔は

どんよりとしていて、

元気が全然ない。

すると、無言で手を差し出され

不思議に思い、下を向く彼と目を合わせると

「ん、」

まるで拗ねた子供のように

私の手に指を絡ませて

エレベーターへ向かって歩いた

エレベーターの中にもしかしたら社員が…

なんて不安を持つながら、

彼の顔を横目で見ると

そんなの気にする気配は無くて、

離そうとする私の手を

更に強く絡ませる

まるで見透かしていたかのように

エレベーターには誰も居なくて、

乗り込んで、8階のボタンを押す

エレベーターに乗っても

会話は一切無い

だけど、繋がれた手には安心感があって

気まずさなんて感じなかった

エレベーターから降り、

私の手を離さない松村が、

部屋に入ると離してくれて、

少しだけ寂しくなった

ベッドにドサッと座る松村と

入口で立ち止まる私

一切会話は無かったのに、

「やってないから」

と、私に声をかける松村

内容に理解が苦しみ

『え？』

聞き返してみると

「酔っ払って、眠くなって、

気付いたらあの部屋で、

起きたらお前が殴られてて、」

あまりにも切なそうに話す松村

自分のせいだって気にしてるんだろう

それに、私に勘違いをして欲しくなかったんだ

彼の考えていることを理解し

松村が座るベッドに私も腰を降ろし、

彼の茶色の髪の毛をゆっくり撫でた