私のお隣さん (ページ16)

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「俺、お前のこと好きだから」

やっぱりあの声が頭から離れなくて、

定時になって帰ろう

そうだ、早く帰って早く寝よう

そうは思っていても、

スーパーに立ち寄って、

大量のお酒とおつまみを買う

ほんとに女かよって

誰か突っ込んでくれ。

レジ袋に片っ端から詰めて

重みのある袋を持ち上げる

あれ、なんか軽くない？

人影を感じてふと横をむくと

「これ全部1人で飲むの？」

私の顔を覗き込む田中樹。

『そうだけど、？』

「なら俺も付き合うよ」

と、自分が持っていた袋を見せてきた

袋の中には缶が2、３本入っていて

これから呑むようだったんだろう

1人でちびちび呑むのも好きだけど、

良いかなって思い、

樹を部屋に案内する。

今日の朝まで一緒に居て、

仕事終わっても一緒に居るって…。

テキトーにおつまみを作って

彼がいるリビングのテーブルに置く

「早く呑も。喉カラカラ」

と、目をキラキラさせてきた

言ってる内容全然可愛くないんだけど

なんだか、子犬みたいで撫でたくなった

『はい、どうぞ』

お酒を渡した空いた手で彼の頭を少し撫でた

「ん？どうしたの」

少しハニカム彼。

自分でやって、恥ずかしい

何がしたかったんだろう私

「酔ってんの？」

急にテーブルから身を乗り出す樹

そして、私の髪の毛先をクルクルと触る

『良い色だから触りたくなった』

頑固な私は、彼の目をじっと見た

でも、やっぱり恥ずかしくて、

「はい、Aの負け～」

と、笑う樹

嗚呼、ほんと私何がしたかったんだろう

素早く缶を開けて、お酒を喉に通す

『 … ふぅ』

「いい飲みっぷりだね」

『飲まなきゃやってられないこともあるじゃん？』

「まぁ、確かにね」

『てか、今日仕事無いんだ』

「今日定休日なんだよね」

『ふーん』

樹もお酒を飲み進めて行き、

なんだかんだ一緒に居るけど、話は尽きなくて

酔いが回って気分も良くなる

「あのさ、気になってたんだけど」

急に真剣な顔をする樹

酔いが回って視点が合わない

耳を傾けるのに精一杯だった