4 ページ43
『A。早かったねー。そんなに急がなくて良かったのに』
『早く会いたかったので、走って来ちゃいました。へへ拳さん!』
髪を直しながら、俺の腕にぎゅーとしがみついて、上目遣いで見つめてくる。
もーなんなの?可愛すぎなんだけど。
『今日、おめでとうございます!脱出成功でしたね。流石でした!』
『なんとか、Aを救うことが出来てよかったよ。流石に殺されちゃったら、後でAに何言われるか分からないからね』
『あはは!!確かに。Aのこと、救ってくれてありがとうございます、拳さん!』
『どういたしまして。』
Aと並んで駅まで向かう。
『A、お仕事お疲れ様。Aがアイドル役やってるなんて思わなかったよ。』
『拳さんも、お疲れ様です。最初に、とりあえずこの公演中は、アイドル役やって欲しいって言われて、最初は戸惑ったんですけど…なんとか、頑張ってます。多分、この公演が終わったら、今度は受付とか、雑用とか、もしくは、また何かの役なのか…分からないんですけど、違うことすると思います。』
『あんな風に堂々とやってて、感心したよー。頑張ってて偉いね』
『そんな、毎日働いてる拳さんに比べたら、Aなんて、大したことないですよー!でも、身近に謎解きに触れることが出来て毎日楽しいです。』
『それは良かった!』
えらいえらいって頭を撫でてやると、照れくさそうに、へへへっと笑顔を見せる。
『でも…今日拳さんと会えると思ってなかったので、嬉しいです。バイト初めてから…前より会えなくなっちゃったから…』
そっと、手が触れたかと思うと、指を絡めてぎゅっと握られる。
『…久しぶりに、寂しい病になっちゃったの?』
『…はいっ。お家に帰ったら、久しぶりに、充電、お願いしてもいいですか?』
上目遣いで、物欲しそうないやらしい表情でそんなことを言うんだから。
『…充電だけじゃ済まないかもしれないよ?』
『…もちろん…そのつもりで言ってるので…大丈夫、です』
『もう、そんな風には大人を煽って。覚悟しておいてね』
風になびくAの髪を梳きながら、耳元でそい囁くと、Aの顔がぼぼぼっと赤く染って、それから、トロンと物欲しそうな表情になる。
Aのハジメテを貰ってからもうすぐ2ヶ月になるのかな…えっちな子になっちゃって。
俺がそんな風に育てたのかと思うと、堪らない。
『…急いで帰ろうね』
『はいっ』
71人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奈絆 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月19日 22時