初恋のはなし 2 (ページ41)

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『チケット拝見しまーす』
『あ、はい。2人、です』
『はい。確認しました。こちらの待合室でお待ちください』
『はーい』

いつもの受付作業を終わらせて待合室へ通される。

『Aさん、いないですね。』
『…俺もそう思ってたところ。もしかして…』
『登場人物ってことですかね？』
『…まじ？』

そのタイムリープ系の脱出ゲーム、登場人物と言えば、イベントを進める進行役と、アイドル役でしょ？
タイムリープを繰り返しながら、アイドルを助けるストーリーのはずだけど。

『…Aさん、アイドル役やるってこと？』
『…』

今回の脱出ゲームは、10人で協力して解く謎だから、次々に一緒にやるメンバーがあつまってくる。
今回は、8割男の2割女の人の組み合わせになったみたいだった。
最近は知り合い同士で行くことが殆どになってたから、こうやって知らない人同士でやるのも初心に戻れて楽しいかも。
進行役のスタッフさんが、脱出ゲームの説明を色々するのを聞きながら、Aのことを考える。
本当にアイドル役で出てくるのだろうか、今日は違う脱出ゲームの配属になったのだろうか…。

そんなことを考えているうちに、時間になったようで、進行役のスタッフが、『それでは、ご覧下さい』と言ってはけていく。
それと同時に、目の前でアイドル役に扮した…Aが部屋の中で寸劇をしている。アイドルの日時を盗み見しながら、ストーリーを進めていくらしい。面白い設定だね。

『……』
『Aさん、可愛いですね』

隣で見ていた山本が、俺にそう耳打ちしてくる。
うん。確かに可愛い。
Aがこんな風に、人前で演技したり出来るなんて思ってなかったから、新たなAを発見出来て、なんだか嬉しいような、寂しい、ような？
一緒に脱出ゲームやる人たちも、『可愛い！』『本物のアイドル』なんて言葉が聞こえてくる。

『Aさんから、こっちは見えてるんですかね？』
『…どうなんだろう…』

それは、確かに気になるなぁ。なんて思っていると、寸劇も終盤を迎えて、遂に殺されてしまうシーンへ。