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拳さんからプレゼントしてもらったキーケースを握りしめて、部屋を出る。
よし、ここまで5分もかからなかった。

初めて、貰った鍵を使って、拳さんのお部屋に入る。
何度もお邪魔したことあるはずなのに…拳さんがいなくて、Aだけお邪魔してることなんてなかなかないから、ドキドキしちゃう。

あっ、あった!茶封筒。
ほんとに綺麗にそのままテーブルに置いてあるし。
拳さん、意外とおっちょこちょいだね。そんな所も可愛い。
さ、急いでお届けしなくちゃ!

スマホを確認すると、拳さんからオフィスの住所が送られてきてて、最寄りの駅は○○だからね。とメッセージまで添えられていた。
乗り換え案内のアプリで調べると、家の最寄り駅から乗り換えなしで1本で行けるみたい。
あ、やばい、最短だと、10分後に電車が来ちゃう。

急いで茶封筒を持って、拳さんの部屋の鍵をしっかり掛けて、最寄り駅まで走る。
アプリによると、ここからオフィスの最寄り駅までは15分で着くみたい。そこから、オフィスまでが歩いて10分だから…良かった。9時45分着になってる。
何とか間に合いそう。

走ったおかげで、最短での電車に乗ることが出来てホッと一息つく。
中途半端な時間だからか、電車もそんなに混んで無くて、座ることが出来た。

『45分にオフィスに着けそうです』

と一応LINEしておくと、すぐに既読が着いた。

『ほんとにありがとう。駅までお迎えに行ってもらうから、一緒にきてね。俺が行けなくてごめんっ』

ってすぐに連絡が来た。
忙しいはずなのに、ちゃんと返事が返ってきて、ほっと一安心しちゃう。
でも、お迎えって…そんな、申し訳ない。A、そんなに方向音痴じゃないし、1人で大丈夫なのに。
しかも、誰がきてくれる、の?

無駄にドキドキしながら、オフィスの最寄り駅に到着する。
改札を通ると、『Aさーん!』って、可愛い笑顔で手を振ってくれている…山本さんだぁ!!
1回だけ、例のメイドさんの格好でバイトしてた時に、会ったことあるんだけど…よく考えたら、初めてがメイドさんって恥ずかしいな。
しかし、やばい…画面内でみるより、可愛さの破壊力が半端ない。後光が眩しくて直視できないよ。

3→←忘れ物を届けるはなし 1



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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月19日 22時

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