忘れ物を届けるはなし 1 ページ31
9月もまだまだ夏休みだから(大学って、ほんとに夏休みが長いんだね)、する事がなくてベッドでゴロゴロしていると、スマホがブーブーと振動してる事に気がついて、充電器から外す。
『…拳さんだ!!』
どうしたんだろう…。
仕事中に、拳さんからかけてくるなんてほんとに珍しい。ってか、初めてかな。
『拳さん!!どうしたんですか?』
『あ、A。今、家?』
『家ですよー!』
拳さん、こころなしか焦ってる?
何か大変なことでも起こったのかな?つられてAまで焦っちゃう。
『どうしたんですか?何かあったんですか?』
『ごめんね…実は、大切な書類を家に忘れてきちゃって。今日の10時からどうしても必要なやつで…』
『10時って、あと1時間しかないじゃないですか!!』
『そうなの。それで、ちょっと困ってて』
『あのっ…鍵、つかっても大丈夫、だったら…お届けします、よ?拳さんが取りに来てまた行くより早いと思うんですけど…』
実は、まだ合鍵を貰っただけで、1回も使ったこと、ないんだよね。
ドキドキしちゃうし…今はまだ使うタイミングもなくて。
隣同士だから、帰ってきて会いたかったらすぐ会えるしね。
『ほんと!?ってか、実はそうしてくれないかなぁと思って電話したんだ。お願いできる?』
『はい!もちろんです!!』
『オフィスの住所送っておくからね。Aなら、地図アプリでこれる、よね?』
『大丈夫です!!』
『ほんとにありがとう!めちゃくちゃ助かります!!俺の部屋のいつものテーブルに茶封筒があると思うからそれをそのまま持ってきてくれる?』
『はい!!分かりました!急いで向かいますね』
『ちょっと今手が離せなくて、俺が出られないかもしれないけど、ちゃんと伝えておくから…よろしく頼むね!!』
『了解です。おまかせ下さい。』
ほんとに急いでるみたいで、下さいって言ってる途中でぷつん、と会話が終了する。
拳さん、ほんとに忙しそうだ…。
社会人だもんね、凄いなぁ。
さ、急いで準備しなきゃ。
とりあえず、部屋着から、動きやすいTシャツとミニスカート風の短パン、ハイソックスを装備して、スニーカーを履く。
急がなくちゃだから、可愛さより、動きやすさ重視の格好だけど…大丈夫、だよね?
とりあえず、化粧しておいて良かったぁ!
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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月19日 22時