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Aの手を掴んでいた人は、そそくさと逃げて行ってくれて、とりあえずよかった…胸をなでおろした。
でも、まさか拳さんがこんな所にいて、助けてくれるなんて思ってもいなくて、びっくりしたのと、なんで拳さんがここに?ってドギマギしてしまう。
『…拳、さん、ありがとうございました。あの…』
助けて貰えたことは嬉しかったけど、拳さんに秘密でバイトしてたことバレちゃった。
どうしようっ…。
無言で、すごい顔で見てるし。…絶対怒ってる。怖いよぉ。
『福良さんっ!!急に走って、どうしたんです――』
『あれ?さっきのメイドさんだ』
『わっ…山本さんと、こうちゃんさん…』
拳さんと、一緒にYouTubeに出演しているお2人が向こうから走ってきて、目の前に!!
すごい!!本物だぁ!!
『あの…拳さん…』
呑気にそんなことを言って、ぐいっと拳さんの服をひっぱるけど、『里奈は黙って』って冷たく言い放たれて、じわっと涙が溢れちゃう。
どうしよう、やっぱり拳さん怒ってる…。
『2人ともごめんね。今日これからどうしてもこの子と話したいことがあるから、先に買い物してオフィス戻っててくれる?』
『それは、大丈夫ですけど…このメイドさんもしかして…』
『こうちゃん!!とりあえず行こっか!!』
『ホントにごめんね』
山本さんがこうちゃんさんを引っ張るように、2人が行っちゃって、拳さんと2人っきりになる。
掴まれてる手首が痛いよ。
『…拳、さん…あの…えっと…』
どうしよう…っ…上手い言い訳が見つからない。
サプライズ誕生日プレゼントのことは絶対秘密にしたいし…。
『とりあえず、帰ろう。今日はもう帰るって言ってきて』
『…でも…まだ…』
『里奈!!』
強い口調で、拳さんに怒鳴られて、咄嗟にポロポロっと涙が零れてしまう。
今までも心配かけて、怒られちゃったことあるけど、今まで以上に怒っているのがわかる。
『…ごめ、なさいっ…』
『とりあえず、ごめんなさいはあとから聞くから、今はその格好着替えて、帰るって言ってきて』
『…はい』
今日は少し体調が悪くなってしまったので、帰ると伝えて、拳さんと帰路につく。
その道中、拳さんは一言も喋ってくれなくて、それが余計に怖かった。
『俺はまだ仕事が残ってるから、オフィスに戻るけど、Aは俺の部屋で待ってて。仕事終わってから話聞くから。』
『あの…はいっ…分かりました…』
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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月19日 22時