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『とりあえず、電気屋さんから行こうか』
『はーい!了解です。』

買い物に行くなら、あれやこれやと他にも色々と足りなかった備品を買ってくるように頼まれちゃったから、色々回らないと。

『あ、見てみて!!あのチラシ配ってるメイドさんめちゃ可愛い!』
『わ、ほんとだぁ!!めっちゃ可愛いね。にしても、スカート短い』
『萌えだねー』

なんて、年下コンビがはしゃいでる。
確かに、秋葉原にはそういう格好で客寄せしてる女の子いっぱいいるよなぁなんて思いながら、ちらっとメイドさんの方を見ると…

え?嘘でしょ?…A?なの?

『メイドカフェです。是非お越しください』

なんて言いながら、谷間の見える、ミニスカートのメイドの格好で、男の人にチラシを配ってるAに、目を疑った。
今までバイトなんでしたことないでしょ?なんでこんなことしてるの?

『ごめんね、ちょっと急用が出来たから、これ、買ってきてくれる?』
『…え?福良さん!?』

買い物リストを押し付けて、急いでAの元へ。
そんな格好で、俺以外の男にそんなヤラシイ声出して、何やってるの?
なんにも聞いてないんだけど!




A side


『メイドカフェでーす!!』
『わ、メイドさん、可愛いね。』
『ありがとうございます!可愛いメイドさんいっぱいいるんで、是非お越しください』
『俺、君に接待してほしいなぁ。』

チラシを持っていた手を握られる。
まさか、街頭でこんな風に絡まれるなんて思ってなくて、困ってしまう。

『あの、困ります…』

手を振りほどこうとしても、力では適わなくて、『お店どこ?連れてって』と半ば強制的に連れていかれそうになって、怖くて怖くてたまらない。

『やっ…やめ…』

こんなバイト中に泣きたくないのに、ゆらゆらっと視界が揺れてしまう。
その時…。

『……俺の彼女なんで、やめてもらえますか?』

反対側から、ぐいっと腕を引っ張られて、誰かの胸の中へダイブする形になる。
さっきの声と、この大好きな匂いで、直ぐに誰か分かった。

『えっ…嘘、拳さん?』

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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月19日 22時

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