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『わー!嬉しいなぁ。福良さんが羨ましいなぁ』
『…あの…お世辞でも嬉しいです。』
『お世辞じゃないんだけどなぁ。前、メイドさんの格好してたでしょ?こうちゃんと可愛いーって言ってたんだよ?』
『…記憶から抹消してください。あの後、拳さ……福良さんに怒られて、大変でした』
『ははは!福良さん、Aさんに怒るんだ!でも、あのメイドさんの格好は危ないかもね』
『はい。もうやってないので…大丈夫です。』
『あ、ここ曲がったらすぐだよー!!』

山本さんが話し上手聞き上手だからかな…すぐに着いちゃった。

『…山本さん、ほんとにありがとうございました。』
『いえいえ。こっち!みんな待ってるよ』

がちゃっとドアを開けてもらって、出してもらったスリッパにはきかえる。
玄関には男の人の大きな靴が乱雑に置いてあって、その中に拳さんの靴を発見した。
綺麗に並べたいところだけど…流石に初めて来てそんな事してたらだめだよね。

『Aさん、こっち来て。こっちがみんな仕事してる部屋だよー』
『あの…お邪魔、します』

そっとお辞儀をして、中にお邪魔すると、一斉にこっちに視線が集まるのが分かって、妙に緊張してしまう。
どうしよう…本格的に帰りたくなっちゃった。

『…山本さん。A、場違いじゃ、ないですか?』
『大丈夫だよ!福良さん呼んでくるから、この椅子に座って待ってて』
『あ、はい、』

待って、1人にしないでって思ったんだけど、拳さんにこの茶封筒渡さなきゃだから、仕方ない。
座るに座れなくて、ぎゅっと茶封筒を抱き締めて、拳さんを待っていると…。

『はじめまして、こうちゃんです。福良さんの忘れ物届けてくれたんだよね?ありがとう!はい、暑かったでしょ?お茶でごめんね』
『わっ…ありがとう、ございます!』

こうちゃんさんが、近くのテーブルにコップを置いてくれる。
わぁっ…こうちゃんさんも本物だぁ。
すごい、イケメンさんだぁ!

って、こうちゃんをこっそり見つめていると、『A!!』と、大好きな声が聞こえてきて、ほっと安心しちゃう。
声の方を振り向くと、バタバタと走りながら拳さんがこちらに来てくれる。

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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月19日 22時

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