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今日は、Aと映画デートの日。
俺は、かなりのインドアだから、お家で一緒に過ごしてるのが楽なんだけどね。
Aが色々行きたい行きたいって子じゃなくて良かった。たまには、お出かけ、連れてってあげよう。

そう思いながら、スマートフォンをズボンのポケットにしまう。
実は、30分前に送った『あと30分で出発しよう』ってメール、既読はついたんだけど、返信がない。
今までそんなこと1度もないから、なんだか心配だなぁ。

予定の時間になったので、Aの家のチャイムを鳴らす。
いつもなら、バタバタ!と足音が聞こえて、『拳さん!いらっしゃい!』ってドアを開けてくれるんだけど…今日はなかなか開かない。
しばらく待っていると、そろっと少しだけドアが空いたかと思うと顔が真っ赤で、フラフラのAが。

『A、大丈夫?うわっ!あつ!!熱あるじゃん。どうして連絡しないの!』

いまにも倒れそうなAを支えてやって、とりあえず抱っこでベッドに連れてってやる。
だけど、Aはグズグズ泣きながら、『やだ…やだっ』ってぎゅーと俺の首に抱きつきながら、首を横に振っている。

『…っ…やだぁ…でぇと、するんだもんっ…っ…』
『なに言ってるの!こんなに熱があってデート出来るわけないでしょ?今日は大人しく病院デートに変更っ!!』

ベッドに到着して、降ろしてやろうとするけど、Aが首に抱きついたまま離れない。

『ふぇっ…やだ…やだぁ…でぇと』

初めてのお出かけデート、楽しみにしてのは分かるけど、熱があるのに流石に行かないし、そもそも立ってるだけでフラフラなのに…どうやって行くの。

『うぇ…でぇと…したい…しゅるー!!』
『A!そろそろ怒るよ?』

病人に対して怒りたくないけど、あまりに聞き分けがないAに、少し怒ったような声を出すと、Aの体がびくっと震える。

『…っ…っ…ふぇぇんっ!!けんしゃんが…おこったぁ…ふぇっ…えーんっ、』

首に抱きついていたAが、スルスルっと離れていって、小さな子みたいに泣き出してしまった。
ポロポロと流れ落ちる涙を優しく拭ってやる。

『…A。怒ってごめんね。デートはまだ、これからいつでも出来るでしょ?お熱治して、またデートしよう?』
『…んっ…』

やっと素直に首を縦にふってくれたから『お利口。』って言って、頭を撫でてやる。

でも、まさか初デートの日に熱が出ちゃうなんてねぇ…。
Aらしいと言えば、Aらしいかな。

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なずな(プロフ) - 花鳥腐月さん» 感想を頂き、ありがとうございます!にやけが止まらないなんて、最高な感想を頂けて嬉しく思います。まだ続いていますので、ぜひご覧ください!本当にありがとうございます! (2021年10月4日 22時) (レス) id: ade25f83bc (このIDを非表示/違反報告)
花鳥腐月(プロフ) - あの、すみません。QKのタグをたまたま見つけてしまって検索してしまい興味本意でこの作品を見てしまったんですけど1、2話目からいきなりにやけが止まらんです……ありがとうございます……どうしちゃったんだろう…… (2021年10月4日 19時) (レス) @page2 id: ca02359df5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月7日 9時

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