ろく ページ8
帰り際、半田が思い出した様に声を上げた。
「佐久間、試合の時言ってたアレ、結局なんなんだ？」
「あと先輩にそっくりな人！一瞬あっちに寝返ったかと思って肝が冷えたでやんす！」
アレ…？あれ？ん？……あ、あれか。
「んーとね、まず私が転校生なのは2年生は大体知ってるよね。私ね、帝国から来たの。ある事が理由でサッカー部やめさせられちゃって。サッカーやりたいけど部に入れないなら転校しよって思って」
「じゃあなんで雷門に？サッカー部、有名でもなんでもなかったけど…」
「それはね、円堂の噂を聞いてさ。」
「お、俺？」
不思議そうな驚いたような顔する円堂。そりゃそうか。自分が噂になるなんて思わないからね。
「どこで聞いたかわかんないけど雷門に面白い子がいるって聞いて。じゃあ行ってみようって事で。ま、言うまでもなく雷門に来て正解。当たりくじ引いたって事かな」
「当たりくじ…？」
また首傾げたれたけど知らん。
「先輩のそっくりさんは…？」
「あー、あの子？私達、双子なの。私が姉であの子が弟。どう？そっくりでしょ？」
「そっくりすぎだろ！」
「眼帯なかったら気づかなかったわ」
みんな口を揃えてそっくりという。うん、知ってた。
「ま、そうゆう事。じゃ、夕飯作んなきゃだから。また明日。ばいばい」
みんなに手を振り、自転車を走らせる。電車の時間まであと15分。
最寄り駅で降りるとすぐ近くに帝国学園が見える。思ったより駅近なんだね、帝国。
「ただいまー」
玄関には次郎の靴が乱雑に転がっている。もしかしてと思い、リビングに行けばバックが放り投げてある。持ってみれば異常に重い。どうせユニフォームとかも洗濯出してないだろう。後で回収するか。
2階の次郎の部屋。案の定誰もいない。バックだけ置いて隣の自分の部屋の扉を開けると惨状。散らかっている。片付けたばっかなんだけど。帝国の制服が脱ぎ捨てられ、椅子に掛けてあった部屋着が消えている。ベッドを見れば、山ができている。
またやられたよ。久しぶりだけどさ。
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作者名：佐藤なずな | 作成日時：2020年3月19日 3時
