ご ページ7
動揺が波打ったのは帝国だけではなく。雷門も。彼らの方に向きを変え、大丈夫の意で笑いかける。すると皆わかってくれたらしい。頷いて返してくれた。
その間に冬海先生が止めに来たけど、鬼道がok出して続行。私は影野と交代。
「円堂、ごめん。思ったより遅くなった」
ふらつく円堂はこっちまで体を引きずってきた。豪炎寺が倒れる手前で支える。
「遅すぎるぜ、お前ら」
再開早々、ボールを奪われる。私も強力だと思う、デスゾーンを帝国が放つ。豪炎寺は真っ直ぐ走り出す。彼は円堂が止めると信じてる。もちろん私も。
「！」
きっとみんな驚いただろう。円堂が止めたのだ。あの、デスゾーンを。彼の手の中にしっかりボールがある。鬼瓦さんから聞いた、あの技。円堂が…
彼が。信じてたのにこの反応は駄目かな、まあいい。
「佐久間！豪炎寺に繋げ！」
「オッケ！任せな！」
円堂から受けたボールは絶対帝国に渡しちゃいけない。例え目の前でボールを奪おうとするのが弟だったとしても！
「私、言ったからね。どんな時でも手加減しないよって！！」
「…っ！わかってる！」
『スピニングアッパー！！』
バックスピンをかけたボールが弟をすっ飛ばす申し訳ないね。なんて。最近の帝国はラフなのがお好きみたいだから、ね？
「豪炎寺！」
彼なら絶対入れる。きっと源田を破るさね。源田が本気で守ってるかなんて、考えてなかったけどさ。
『ファイアートルネード！』
彼のシュートはゴールに一直線。源田は取ることができなかった。
「ゴォーール！！」
実況をしていた生徒の声が響く。生徒の歓声が聞こえる。
そして帝国の試合放棄。さっさと乗り込んで帰って行く。
「円堂守か。思わぬ収穫があったな……」
くっそカッコつけに見えるどうしよう
「みんな見ろよ！この1点！この１点が雷門の始まりさ。この1点が俺たちの始まりだ！」
豪炎寺を止めなかった円堂。でも今はこの喜びを噛みしめるしかないね。風丸と目が合い、微笑み合う。木野ちゃんの方に目をやれば1を返してくれる。
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作者名：佐藤なずな | 作成日時：2020年3月19日 3時
