Secret×Secret Part２【安室透/降谷零】 (ページ23)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:28,089 hit

６３降谷の守り方ページ23

診察は異常なしとの結果で、私は数日で退院出来ることが分かった。

大人しく病室まで戻るとまだコナンくんと秀くんがいた。

心の中ではよ帰れと唱える。
早く一人になってこの傷心した心をどうにかしたいんだよ。

「さて坊や。今回のことを全部話してやってくれ」

「うん。分かった」

快く頷いた少年の口から話されたことをまとめるとこうだった。

まず篠崎Aが安室透の恋人としてベルモットに知られたこと。
ベルモットの監視の中、ウロチョロと彼女を連れていれば自ずと同一人物説に辿り着く。

その時に私の声が赤井Aと一致していることにベルモットが気づいた。

次にベルモットはバーボンに"可愛い彼女を傷つけたくないなら赤井Aを捕らえろ"と、篠崎と赤井が同一人物であることを知らないフリをした。

しかし、そのフリにバーボンは気付いていた。

それに、ここまで彼の予定通りだった。

こうして私を連れ去り練っていた組織壊滅案を決行した。

残念ながら私を組織壊滅の企てには参戦させる気はなかったらしいが…。

「安室さんはね、Aさんのことを危険に晒した責任を感じて離れるつもりなんだよ」

『この怪我は私の責任なのに？』

「あぁ、お前を組織に戻したのは彼の提案だったからな。好きな女を巻き込んで怪我をさせたと変わりはないってやつさ」

巻き込んだ。
たしかにその表現は間違ってはいない。
接近して利用されていたとも捉えられる。

でも、いつだって彼は私の身を案じてくれた。
私は彼の秘密という剣と正義という盾で守られていたのだ。

FBIをクビにされた時も私の過去を慰めてくれた時もベルモットに撃たれた時も。
全部、分かってる。

『ねぇ、秀くん』

「なんだ？」

『頼みがあるの』

あの夜。
彼は私のことを好きな人と称した。
さらっと告白紛いのことなんかしといて、返事も聞かずにどこかへ行こうなんてご都合主義にも程がある。

今更だが銃で打たれた後ようやく認められた。
私は彼を好いていると。
あの状況で彼の声が聞きたかっただなんて答えはそれしかない。

もう彼の心には届かなくとも耳にだけは入れたい。
左から右へ抜けるならそれでもいい。

ただ彼に好きだと伝えたい。