Secret×Secret Part２【安室透/降谷零】 (ページ14)

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５４白を信じてはダメだページ14

でも、今の私になら分かる。
明美さんの言ってた気にかかる人が私だということが。
哀ちゃんの言うことが正しいなら彼女は、私の正体を知った上で話していた。

でも、彼女は相談にのって欲しかったのではなく、きっと幼なじみの私の保証が欲しかったのだろう。

幼なじみのことが好きじゃない。
その確証が。

男女の友情が成立するのかしないのかと囁かれる世の中で、幼なじみの私の存在が気にかかっていたに違いない。

口にはしなかったが。

「Aさんは付き合ってる人いらっしゃるんですか？」

『残念ながらいないよ』

「じゃあ、好きな人は？」

『気になる人もいないわ』

そう受け答えすると、どこかすっきり顔をしていた気がする。

その時は、特に何も思いやしなかったが今となればあれは浮気を疑っていたがそうじゃないと安心した女の顔。

＊

そんなことを回想しながら博士の家を出て数十分。

『ないな～。どこいったかな。そっちにあった？コナンくん』

あのままの哀ちゃんを私は置いてきた。
だというのに、なぜかコナンくんは私について来ていた。

「……」

『コナンくん？』

工藤邸にお邪魔して秀くんがどっかに隠してあるだろう変装マスクを探していたのだ。

「…灰原は蘭姉ちゃんやAさんみたいな人に明美さんを重ねる時がある。だから、助かったよ。お姉さんの嘘」

『ううん。いいのよ。親しい人の死別より悲しいものなんてほぼほぼないもの』

来葉峠の一件は私も肝が冷えたのを今でも覚えている。

あぁ、もうあの皮肉も聞けないんだ。
と、悲しみにくれながら過ごしてた。

そしたら沖矢昴とかいうやつが現れて、１ヶ月ぐらい私の周りをうろちょろしてた。
…まるで気づきもしない私を楽しんでたらしい。

『ほんといい性格してるわアイツ』

「それって赤井さんのこと？」

『それ以外にいないわよ。今回もどうせコナンくんを通して私のこと唆すよう言われて』

「赤井さんには何も言ってないし言われてない。僕がAさんのこと無茶しないように監視してるって信じきってるよ」

『…え？』

「僕、言ったでしょ？赤井さんがAさんを囮に使うわけないって」

満面の笑みでそう言うコナンくんが私の前に彼のスマホを掲げる。

その液晶画面に映る文字を目で追うと

『君にあとは任せたよ。……安室…透』

差出人は疑う余地もなかった彼の名前だった。