51赤井の守り方 ページ11
『ちょ…ちょっと待って?なんで私の正体バレてるみたいなの?』
「貴方の存在と正体を前もって教えてたのよ。彼はFBIきってのキレ者、しかもそれは貴方の幼なじみ。接触を起こしてくる予測ぐらい容易そうよ」
どこまでも一枚上手の彼に驚愕する。
…何も聞いてこないからてっきり秀くんは知らないんだと思ってたわ。
「さて、江戸川くん。私の本題は済んだわ。話があるならさっさと終わらせてちょうだい」
「あ、あぁ。…Aさんには伝えなきゃいけないことがあるんだ」
さっきまで蚊帳の外だったコナンくんが気を取り直して深刻な空気を纏う。
その二人の子供を相手に私は息を呑んだ。
「Aさんは知らないと思うけど今現在、奴ら…組織の壊滅まで、あと一歩というとこまで追い詰めている状況なんだ」
その事実に目が見開く。
そんなこと、秀くんは一言も言ってなかった…。
「おそらくFBIも日本の警察も手を貸しているでしょうね」
ちょっと出かけてくるわみたいなテンションで工藤邸を出ていってたが、まさか組織壊滅に携わってたなんて…。
それに降谷さんも降谷さんだ。
彼も私には内緒でここ数日、諜報員として潜入していたのだから組織を追っていたことになる。
なんでみんなして私には内緒なんだ…。
「このことはAさんには内緒にしとくつもりだった。
もし世界中の機関にAさんの安否が知れ渡ってしまった場合。組織の壊滅に貴方は協力しなければならない。
そしたらAさんは、囮として自分を使うでしょ?」
『っ…!』
そういうことか…。
私の思考はどうやら彼らには隠せないらしい。
「当然よね。一般人なら躊躇うけれど、貴方は元FBI。
幸い、奴らに貴方の素性はまだ知られていない。
こんなに都合の良すぎる囮は貴方以外にいないわ。あと一撃がどうしても欲しい。
それがここ数日の国中の見解なんだから」
そう告げた彼女がゆらゆらと瞳をどこかへ落とす。
世論がそうあるべきだということは私にも分かっているし、ここでようやく全てが繋がった。
秀くんがFBIの身分を取り上げたのは
「赤井さんはそんなAさんの為にFBIの肩書きさえも取り上げ、AさんがFBIだったという事実を本部の方へ、消しに行ったんだよ」
私を組織から遠ざけるため。
あの男がここまで予測出来ないわけない。
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作者名:星香 | 作成日時:2019年6月3日 15時