Secret×Secret【安室透/降谷零】 (ページ23)

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２３機能性再開ページ23

以前よりずっと静かな車内。

どちらも無言を貫く中、帰路につくため車は夜の道を走る。

流れゆく景色を目に映してもなんの情景も感じれない。

それくらい彼の言葉はショックだった。

話も聞かず飛び出してきた私を彼は何を思っただろう。

冷静さにかける女。
そう思っただろうか。

そんなことを考えだした私の頭はやっと機能し始めていた。

『ありがとうございました安室さん』

「感謝されるほどのことを僕はしていませんよ」

いいやそんなことはない。

あの時の私を放っておけば、間違いなくどこかで車にでも引かれるか川にでも落ちるかしていたはずだ。

そんなことを思うのは、自分の手の甲に少し傷がいってるのが目に入ったからではあるけれど。

今、気づいたのですぐに手当はできないがうっすらとではあるが痕が残っても仕方ない。

それにこんな傷痕は今更だ。

組織に潜入していた時に作った傷に比べたら可愛いものである。

FBIにいた頃だってしょっちゅう生傷が絶えなかったし…

そこまで考えてやめた。

今はFBIのことを考えたくはない。

さっさと窓の外に目線をやって気を紛らわせようとしたら、赤信号というやつを見てしまった。

信号にさえイライラするわたしってどうかしてるわ…。

はぁ…と1つため息をつくと

「悩みがあるなら聞きますよ」

と表情一つ変えずにハンドルをきる運転手が言う。

この人に話すべきなのか少し悩んだがこのまま家に帰っても、イライラするだけで寝付けない気がする。

そしたら私は次にこう言っていた。

『バーに行きたい』

酒でも煽って気を紛らわせようとする自分に若干呆れた。

「いいですよ。僕が店を決めてもいいでしょうか？いい店があるんです」

『任せます』

その途端、目的地を変えた車が左折する。

オシャレなとこに連れていかれそうだなとか呑気に考えてるが、今日は多分、自重せずに飲んでしまうだろう。

彼には迷惑をかけない程度にしよう。

そう密かに心に誓った。