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21奪うの? ページ21

FBI捜査官という実績のお陰様で私は今、隣人に怪しまれていると推測していた。









ほら、たまに気配消しちゃったりするんだよ癖で。


…あれ?でも安室さんの前で消したことないはずなんだけど…。







だったらどうして怪しまれた…?








「お前もこんなとこで紅茶なんか飲んでないで、さっさと彼氏でも作ったらどうだ?ほら、その安室くんとか」





『はぁー?あんたこそいつまでも未練たらたらしてないで彼女作ったら?』






「あいにく俺にはお前を見届ける義務がある」







そう告げた瞬間、沖矢昴の片目が開いた。







この鋭い眼光。
知ってる。
何もかも見透かしたようなそんな瞳。








『見届ける…って』




「俺はお前には幸せになって欲しい。普通の幸せを手に入れて欲しいんだ」




『今の生活でも私は十分満足して』




「俺が言っているのは女としての幸せのことだ」







突然、何を言い出すかと思ったら下世話な話である。




嫁の貰い手でも心配しているのだろうか。




やっぱり余計なお世話だ。







「そんなこと心配しなくても」





「いいや、一般人の肩書きを与えてしまった俺には責任があるんだ」




『え?でも私だって一生一般人するつもりじゃないよ?組織がなくなれば私だってFBIに戻るつもりだし』






なんなんだこの空気。




嫌な予感しかしない。






「いいか?よく聞け。今から言うことはFBI捜査官の赤井秀一の話じゃない。俺個人としての話だ」







何を思ったのか彼はハイネックに手を忍ばせ変声機のスイッチを切った。






その動作がやけにゆっくり見えたのは私が緊張しているせいだろう。






いつもなら早く言いなよとか急かすのだがなんだか彼の纏う雰囲気的に違う気がする。








そして、彼の声音が紡ぐ音に耳を傾けると








「お前は********」









すんなり耳には入った。







だがしかし









『え……』








言葉の意味を理解できないというか、頭の中が真っ白になっていく。









まだ彼は何か言っているようだが、その先は全く耳に入らない。







耳の中でただただ谺響するさっきの言葉のせいだ。









冗談じゃない。









なんでこの人にFBIに戻るなって言われなきゃなんないの。







































思考停止の状態で私はなんとか









『かえる』







とだけいって荷物をまとめた。

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作者名:星香 | 作成日時:2019年5月8日 17時

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