１６二重人格 ページ16
一悶着あった私達だがあるパンケーキ屋の前に来ていた。
いや、連れてこられた。
「前からこのお店来てみたかったんですよ。さぁ早く入りましょう」
『え、あぁ、うん』
いやー、楽しくない。
非常に楽しくない。
なんでこいつの腕に自分の腕を絡ませて、にっこにっこにーしなきゃならないんすか。
誰得ですか？
「あれ？もしかして甘いもの苦手でしたか？」
しゅん…と項垂れるその姿に若干の殺意が芽生える。
昨日、私の頭に銃口突きつけたやつがよくやるわ…。
『そんなことないですよ。甘いもの大好きです』
まぁ、今のとこ合わせておこう。
下手に逆らったら今度は本当にあの世いきかもしれないし。
それに…
「僕の顔に何かついてますか？」
この二重人格と思わしき人物の正体も分かっていない。
なんなんだこいつ。
こいつこそただの探偵なの？
『んなわけな…っ』
突如、足に痛みが走った。
もちろん原因はこいつ。
レディの足を踏みつけるとは何事ですか？
…なんだよ、その鬼の形相。
ここ死角じゃなきゃアウトだぞ、こら。
「おかしいですね。僕のカノジョは淑女なのでそんな言葉遣いはしないんですけど」
いや、カノジョじゃないんだけど。
そこまで設定盛り込むの？
めんどいな。
『それはそれは失礼しましたね。安室さん』
笑顔の下にものすっごいどす黒いオーラを隠して振る舞う。
「あれ？やっぱりおかしいですね。僕のカノジョなら、透さんって呼ぶはずなんですけど」
『……』
ふ・ざ・け・ん・な。
誰が透さんや。
そんなカノジョいるならお目にかかって、これは誤解なんです！って言って秒で立ち去るわ。
でも仕方ないそれならこうだ。
『外ではまだ慣れてなくて…どうしても呼ばなきゃダメですか？』
何がなんでも呼びたくないので必殺うるうる上目遣い攻撃！
秀くんには効かないけどとめどの男性には効くから、これで大丈夫だ。
「それは困ります。早く慣れてください」
あ、なるほどね。
イケメンには効かない…と。
私が悪寒に耐えればいいんですね。
はい、そうします。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星香 | 作成日時：2019年5月8日 17時
