31安室透は… ページ31
「その時は単なる偶然で寄越した情報だと思っていたが…どうやら彼は俺が助けに行くのを見越して連絡をしたそうだ」
この男が偶然あそこにいるわけないのは分かっていたつもりだ。
しかし、その連絡を寄越した相手は何者なんだ?
『彼って誰?』
その謎の人物は私の何を知っている?
謎の人物はあの隣人以外はもう要らないんだけど…。
「誰って…君も聞いたことあるだろ?安室透って名前は」
易々と明かされた身近な人間の名前に驚愕した。
結局、隣人じゃん…。
『安室さんってあのポアロの?』
「そうだが、他に安室という知り合いがいたのか?」
『いないよ…』
でも、よく考えたら可笑しいでしょ?
なんで民間人がこの男に連絡できるんだよ。
連絡先を交換するほど仲がいいようにも思えないし…。
あれ?てとこは、安室さんは一般人ではないということか?
…あぁ。それなら納得いくわ。
盗聴器仕掛けて、銃口突き付ける人間がただの探偵のわけないものね。
そう勝手に解決する。
「お前には悪いんだが彼は組織の一員でな」
『ちょっと待って!』
「なんだ?」
それって赤井Aと偽って、組織に潜入していたFBIが生きてるってこと知られてるんでしょ?
私が組織の末端だったとはいえこの事実が幹部にでも伝われば、私は生きていられない。
「ん?その様子だと安室くんから聞いていないのか?朝帰りだからもう聞いたとおもったんだが」
『聞いてないって何を』
この際、朝帰りなんて単語は無視だ。
事情が事情だったんだ。
こっちはやましいことなんてないんだからね。
「安室透とは黒の組織のバーボンだということをだよ」
そう言うと彼はまた優雅に紅茶を飲み始めた。
一方、私はと言うとあまりの衝撃で頭がクラっする。その弾みに置いてあったティーセットがガチャンと音を立てた。
『え、あ、は、え?私よりによって命を狙われる可能性のある組織の人が隣に住んでるの?』
状況を理解すると、もうカードキーなんてどうでもいい。
『秀くん今夜泊めて』
安室さんから逃亡する計画を練らなきゃだわ。
そう私の頭の中は対策を練り始めたが
「元FBIともあろう人間が逃げるのか?」
「っ…!』
どうやらそういうわけにはいかないとよ。
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作者名:星香 | 作成日時:2019年5月8日 17時