SketchBook 4【mm×kj】 (ページ3)

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#3 ページ3

多分、君やなくてよかったよ。

始まりは偶然、すれ違っただけ。

何度断っても引き下がらない君に
俺は仕方なく折れただけ。

今はもう
静かな部屋で一人、泣くこともないし

『なんでいっつも俺ばっかり』

なんて言葉も言わんようになった。

理由も何も言ってくれへん君に
耐えられんくて部屋を飛び出したあの夜、

君はもう、追いかけてきてはくれんかった。

どんなに喧嘩して
どんなにすれ違っても
必ず迎えに来てくれとったのに。

今回はほんまに終わり、
何となくわかっとったけど

やっぱり君を待ってしまう夜を
一人で過ごすんは苦しかった。

康二「ちゃんとうまくやれてるんやろか。」

あんなに涙を流した別れでも
時が経って、少しずつ色褪せて、

もう貴方の隣には
俺やない誰かが居るんやろな。

君って不器用やったやん？

２つのことは同時にできひんし
脱いだ服はソファに投げちゃうし

疲れたら寝ちゃうし
連絡もしやんし

新しい人とは、ちゃんとやれてるんか？

…俺は。

新しい人のことは知らんけど俺は、

そんなとこも大好きやったよ。

そんなとこにたっくさんムカついたし
喧嘩もしたし傷ついた。

それでも多分

今もずっと
嫌いになんてなれへんの。

美味しいってご飯食べてくれるだけで
名前呼んで笑ってくれるだけで
俺は幸せやって思っとったのにな。

そんな記憶も
ちゃんと色褪せる。

やから
変に思い出したないの。

もう、あんな最低やった君の顔なんて
見たくない、
嘘やない。

仲直りするときだけ
都合良く抱きしめてくれたみたいに

今も困ったときだけ
俺に連絡するんはやめや？

康二「…なぁんて、」

〝どしたの。〟

送る言葉は正反対。

気づいとる。

俺ん中ではまだ
１ミリやって色褪せてないこと。

だけどきっと、
きっといつか色褪せる。

康二「…………めめ…っ、」

まるで
ドライフラワーみたいに。