１ダースの恋

#28 ページ31

蓮「何も気にしてなかった。向井康二だなって思ってた。」

康二「いや合ってるんやけど…」

蓮「じゃあ逆に何がいい？」

康二「えﾞ、」




なんだ。
そんなこと言うから案があるのかと思ったのに。

向井康二はマジメに悩んでしまった。




蓮「みんなにはなんて呼ばれてんの？」

康二「みんな…別に、話す人も居らんから。」

蓮「…阿部亮平は？」

康二「またフルネーム……、康二、って呼ばれとります。」




やっぱり、ね。

阿部くん、から阿部ちゃん、に変わってたから。

向井くん、から何に変わったかと思ったら。


って俺、ストーカー？




蓮「……ふーん。じゃあコージクンね。」

康二「え、」

蓮「やだ？ムカイサンでもいいよ。」

康二「いやそれは、」

蓮「じゃあ、コージクン。」




…ほら、
またそうやって顔真っ赤にして。

極度の恥ずかしがり屋的な？

でも今恥ずかしがるとこあった？




蓮「俺、次だから降りるね。ばいばい、コージクン。」

康二「ま、まって、！」




ホームに立った俺の後ろから、
そんな声が聞こえてきて

人のいないホームには
やる気のないブザー音が流れて。



振り返れば、真っ赤な顔のまま
何かを必死に訴えようとしてる向井、……コージクン。




康二「お、おれも、……その、………目黒くんって、呼んでも、ええ、？」





…何それ。

この人、
俺のこと
どうしたいの？






＿＿ドアが閉まります、







蓮「…いーよ。また明日。」




プシューっと音を立てて閉まった扉と同じように
俺からもプシューっと空気が抜けていった。



遠ざかる電車。

コージクンはどんな顔してたんだろう。

やっぱ、顔真っ赤にしてたかな。





蓮「………ヤバすぎるだろ……、」





…なんて、ホントに顔赤くしてるのは俺かもしれないと
誰もいないホームで思わずしゃがみ込んだ。

#29→←#27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す