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【J】はじめまして、恋心(3) ページ23

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「だけど…何でだろ。貴方になら、話したいって…そう思いました」
「…なんつーか、上手い事言えないし、何様だよって感じだけどさ」

ソファーに身体を沈めていた彼は、私の元へ寄ってきては頭に、ぽん、と手を置いた。

大きくて、温かい手だった。

「お前、強いな。偉いと思うよ、俺は」

初めてだ、こんなの。
頭を撫でられながら、褒められるなんて。
こんなの、こんなの初めて。
18年生きてきた中で、こんな想いをするのは初めてだ。
心臓をぎゅっと握られたようだった。

嬉しい、のに、切ない。
ちょっとしたささくれが剥けたような小さな痛み。
けれどその僅かな痛みに、依存したくなるような、そんな感覚。
鼻の奥がツンとして、視界が歪む。

「泣くとブスだな」
「し、失礼です…!」
「涙止める方法知ってる?」
「わかんない、です」
「目閉じて」

言われるがまま目を閉じれば、ベッドの軋む音が聞こえて、彼が私の横に座ったのが分かる。
目を閉じているから分からないけれど、彼の温もりが先程までよりも近くなったのを感じた。
それから、後頭部にあてがわれる手。

額と、瞼と、頬に感じた柔らかい感触は、私にとって初めてのものだった。
彼が触れた箇所一つ一つが熱を帯びて、それが全身に広がってくらくらとする。
もう全身が心臓になってしまったんじゃないかと思う程。

「あ、あの」

耐え切れなくなって、私は目を開けた。
瞬間、こつんと額同士がぶつかる。
人生で、ここまで人の顔を至近距離で見たことは多分ない、あったとしても私の記憶にはない。
額どころか、唇同士も触れ合いそうなほどだ。

「なに」
「…唇には、してくれないんですか」
「名前、呼んで。ジローって」
「ジロー、さん」
「ん、」

初めて彼の名前を聞いて、初めて彼の名前を口にした。
ジローさんは満足気に笑って、そしてようやく私が待ち望んでいたモノを与えてくれる。

ファーストキスは、こうしてジローさんがくれた。
でもジローさんがくれたのは、それだけじゃない。

「すき、って言ったらどうします」
「さあ」
「さあ、って…」
「もう1回、キスしてから考える」

そう言って、有無を言わせず私に口付けた彼が私にくれたもの。





(はじめまして、恋心。)

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設定タグ:YouTuber , カリブラ , カリスマブラザーズ   
作品ジャンル:恋愛
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なな - 更新されたお知らせを見て、1人1作品までと書いておりましたので、下のリクエストのジローバージョンだけで大丈夫です^ ^よかったらお願いします^ ^ (2018年8月12日 16時) (レス) id: 95dae1597d (このIDを非表示/違反報告)
なな - ジローともう結婚してる設定で、妊娠してから出産した後までのお話が見たいです!それのジョージバージョンも見たいです!よかったらお願いします! (2018年8月11日 9時) (レス) id: 66904d1436 (このIDを非表示/違反報告)
ナユタ(プロフ) - るぅてゃんさん» 初めまして、暖かいコメント頂き、誠にありがとうございます。何度も読んでいただけて、とっても嬉しいです…!拙い文章ではございますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年8月10日 14時) (レス) id: 33ad2629a4 (このIDを非表示/違反報告)
さささ。(プロフ) - ジョージがシアトルで彼女が日本の遠距離が見たいです!!!イベントで日本に帰ってくるけど忙しくてなかなか会えずにいたけどジョージからのいきなりの電話で会うことになってラブラブするっていうシチュエーションが見たいです!!!更新楽しみにしてたので頑張ってください (2018年8月10日 10時) (レス) id: 30a4697702 (このIDを非表示/違反報告)
るぅてゃん(プロフ) - もう5回以上読み返しているのですが何回読んでもきゅんとなって素敵なお話と文章で大好きなのでこれからも頑張ってください! (2018年8月10日 0時) (レス) id: 809da260df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナユタ | 作成日時:2017年7月26日 16時

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