38.年功序列っしょ ページ39
「つまり神楽の兄貴はお前を殺したフリをしたワケか」
「……そうなるね」
私はみんなに全部説明した。
「やっぱり夜兎族は同族争いはしたくないんでしょうか」
「そうじゃない」
そんなんじゃない。
殺す価値もないのか
それとも借りでも返したつもりなのか…
私は唇を噛み締めギュッと左腕を掴んだ。
「Aちゃん…」
「訳ありみてェだな。まっ俺達には関係ねェがな」
「…」
みんな私の様子に
何かを感じたみたい。
「お前ら2人にどんな事情があるかは知らねェが、お前は生かされたんだ。拾った命は無駄にしねェこった」
坂田さんのその言葉がやけに重く深く
私の心に染み込んだ。
拾った命か…
「ねぇ銀ちゃん！しばらくAちゃんをうちで預かっていいアルか？」
「好きにしろ。そのかわりきっちり働いてもらうからな」
「給料出ませんけどね」
タダ働きかよ…
まぁ文句は言えないな。
ここは3人に甘えよう。
「やったー！じゃあ帰ろう、Aちゃん！お医者さんも起きたら帰っていいって言ってたネ」
「ありがとう坂田さん、みんな」
「やめろ堅苦しい。銀ちゃんでいい」
こうしてしばらく、坂田さん改め
銀ちゃんのところでお世話になる事になった。
ところで一つ問題が…
「あのさ、病院代って誰が払ってくれるの？私、一銭も持ってないけど…」
「「……」」
やっぱり…
「まっ、ここはお堅い公務員さんに払ってもらおう」
「そうアルね」
「僕と神楽ちゃんはまだ子どもだし」
そそくさと病室を出ようと
くるっと方向転換をする3人。
そして私はチラッとその公務員3人を見た。
「お…俺は一番後輩だし…」
「俺ァ後輩じゃねェけど年下だしパス」
「待てコラァァァァ！！」
土方さんの叫びを無視し
5人は順番に病室から出て行った。
「…」
「じゃあよろしくね、ひ・じ・か・た・さん！」
私はこれでもかってくらいの笑顔でそう言い
みんなに続いて部屋から出た。
「てめェら全員覚えてろォォ！！！」
その絶叫は、虚しく病院内に響くのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 821人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優衣 - 神威かっこよすぎてヤバいです！ (2016年4月28日 9時) (
レス) id: f1a977784f (このIDを非表示/違反報告)
(｡-_-｡) - 凄い面白い！こんなん書いてくれてありがとうです！ (2016年3月12日 20時) (レス) id: fedc7e71e6 (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - なさんさん» ありがとうございます！紹介させていただきます^ ^ (2015年9月5日 5時) (レス) id: 44ff7cdde6 (このIDを非表示/違反報告)
なさん(プロフ) - Sayuraさん» 嫌だなんて、とんでもないです(*_*)めちゃくちゃ嬉しいです！ありがとうございます♪ (2015年9月5日 1時) (レス) id: 2d6a1f59d0 (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - 初めまして、Sayuraと言います。とても面白いと思ったのでこの作品を私の作品で紹介したいのですが、いいでしょうか？嫌だったらすみません。続編の更新楽しみにしてます^ ^ (2015年9月4日 21時) (レス) id: 44ff7cdde6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なさん
| 作成日時：2015年4月20日 4時
