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「試合は、行かない……だって迷惑かけたくないから……」
「応援は嬉しいよ、誰だってそうだろ？」
「そーそー！あんま深く考えずに見に来いよー！」
花井くんと田島くんが誘ってくれたのは嬉しいけど、後ろ向きな検討にしておこう……。まず検討したって行かないって決めたのだから、明日には断るつもりだ。つもりだった。
練習が終わってからの帰り道、みんなと別れて孝介と2人になった途端、やはり緊張してしまうし、あの話題は来ると思っていた。
公園で自転車を止め、ブランコに座って、説得されるのが怖くて先に話を切り出した。
「逃げたんだよ、私は……孝介の悔しそうな顔見るのが悔しいの。私がいなかったら勝ってたかもしれないって、1点でも多く入ってたんじゃないかって！だから……見に行かない。明日みんなにも謝る」
「……俺は、お前に試合見て来て欲しいよ」
「やだ、やだって」
「お前は俺にいくつも頑張ってるところ見せてくれんのに、俺のは見てくれないのな」
「ちが、だって、」
「違わねぇよ、いつもいつも悔しかった、勝ってお前に笑って欲しかった。練習不足もわかってるから毎日焦ってる」
鎖を握る手に力が籠ってしまう。私のことを見て言ってくれているのはわかっているのに、「見る資格がない。資格がないんだよ。逃げた。不幸体質が怖くていまも逃げ出したい。好きなことやっててもダメになっちゃう」……助けてよ。神様。誰か、
「不幸じゃない。頑張りすぎたんだ」
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作者名：郁 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年12月2日 1時
