検索窓
今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:2,015 hit

7周 ページ7

.



「泉、今日調子いいな」

「そうか?いつも通りだと思うけど」



マシンに合わせて素振りをして順番待ちしている間、水谷がそういえば、と話しかけてくる。努めて平静を保ってはいるつもりだけど、水谷にバレたら全員に広げられかねない。



「んー、なんていうの?Aちゃんが来てから、いつもよりちょっと前に出てる感じ?」

「お、おめーはそういうの見なくていいから上手い人のフォーム見とけ!あとAって呼ぶな!」

「いだっ、え、ひど!」



膝裏をちょっと蹴ると水谷はぐへっと地面に突っ伏した。そんなこと気のせいだ、変わったことも何もしていないはずだから。



「水谷ー!西広にスタメン取られるぞー!」

「は、はひ〜〜〜〜〜」



いいところを見せようなんてあまり思わないけれど、Aが応援にきたときに、いままで負けたのはAのせいじゃないって証明したい。
そのモチベーションがいつまで続くかなんてわかりゃしないけれど、自分に返ってくることならやれるだけやりたくなっていく。

自分の番になってネットの前に立ち、ピッチングマシンのボールを待つ。第一球振ると、ピッチャーとセカンドの間を抜け、飛距離的にはセンター手前まで伸びていった。

今日もたくさん打って、食べて、飲んで、走って。投げて、打って、たくさんやれるだけやろう。気持ちは逃げなくても、練習時間はやらないと逃げていくのだから。

8周→←6周



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年12月2日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。