一周まわって、【泉孝介】 (ページ6)

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「朝はこんな感じだけど、どうだった？」

8時半頃に一旦私はこの場を離れることになり、着替えに向かった。
いい気分転換になったかと聞かれれば勿論イエスだ。
……孝介とはどうかと聞かれれば、ノー。やっぱり逃げに逃げた私には孝介を見る権利なぞとうの昔になくなっている。

着替えてグラウンドに戻るとおにぎりを食べているらしく、気付いた何人かが「おー、おふかえ！」と声を掛けてくれた。

「夜も、一応いきます……」

「ほんとう？よかった！」

「おにぎりくらいなら作れると思うし」

「須賀、夜来るんだ？」

後ろにひょこっと現れた花井君が悪い人じゃないことはとてもよくわかった。しどろもどろ、ひとつ頷くと、

「なんていうの、あいつらもお前のこと気に入ってるみたいだし、また気が向いたら来いよ、いや……ください？」

「行くよ、ちゃんと。そろそろ部活行くね。千代ちゃん花井君、みんなもまた……」

「うん、頑張って！」

「お疲れ様した！」

1人でめそめそして、体育会系の部活の体験に行くとむず痒くなるのはこういうことか！と思いながら靴箱のあるところに向かっていると、後ろから足音がした。聞き慣れたスパイクの音。それが誰のものかはすぐにわかる。

「A、もう行くのか」

「うん、今日朝からだから。……夜、行くよ」

「そか、……また夜な！」

弾ませたような声を出して、足音で！なんなんだ、そう狂わせないでほしい、ほんとに。走って靴を履き替えて、最上階の部室へ向かった。