一周まわって、【泉孝介】 (ページ5)

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確か人が苦手になったのも、練習試合を見に来なくなってからだ。

「田島は怖くねぇよ。
夜まで、お前がいたいと思ってくれたらいていいんだ」

「わかった……考え、とく」

それでも目はひとつも合わなかった。意識して逸らされているのはわかっているし、待とうとは思うけれど、今日の帰りにも合わなかったら何かひとつでも伝えておこうかと思った。

モモカンとしがポが来て挨拶をし、もう篠岡から話を聞いていたのか、モモカンはAを見つけて浜田のときと同じように「あなたが須賀さん？」と声をかけにいっていた。

「須賀さんも一緒に瞑想、やってくれる？」

「瞑想、わかりました……」

「泉と篠岡ー、間に須賀挟んで」

花井もAとあんまり話さないタイプだったんだろう、初めて顔を見るくらいの見知り方をしている。

間に挟んで片手を取ると、気づいたときには顔よりも下になってしまった肩が跳ね上がった。手も小さく感じる。何もかも昔とは違う、それを知るには、瞑想の5分間は十分な時間だった。冷たい手に温かさと思いを乗せて、手をきゅっと握った。

「はいおしまい！アップ始めるよ」

しがポの合図とともに全員が目をぱっちり開いた。伸びをしたり、世間話を少ししたり。過ごし方は様々で、篠岡はAとベンチへ向かい、マネージャーの仕事を教えに行った。