一周まわって、【泉孝介】 (ページ3)

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『千代ちゃんいいの？こんな遅くに電話してて』

「大丈夫だよ、いまお風呂から上がったところだし」

『ならいいけど……』

私から電話を掛けると「えっ、ま、うそ、ちちち千代ちゃぁぁん！！？」とすごく驚いた声を上げてられてしまった。私だって電話のひとつやふたつ掛けるよ！

「今日、泉君にAちゃんのこと聞かれたんだけど、もしかして仲違いでもしてる？」

『……ううん、私が一方的に』

「そっか。あのね、言伝を頼まれてて」

『応援だったら、行かないよ』

「……だよね、泉君も多分断られるって言ってた。そうだ、練習来てみない？マネージャー体験もいいかなーって……どうかな？」

ねぇ、Aちゃんはいま、何を考えてる？そんなこと声に出せるわけがなかった。泉君はAちゃんを、心から心配して、期待して。きっとずっとずっと、気にかけていた。

不幸体質のことを私も知っている。でも、もう不幸体質なんて気にさせないほど、泉君はきっと、強くなったはずだよ。ねぇ、何年経ったって、泉君は待っててくれてるよ。

『……でも練習なら、負けなんてないから、きっと大丈夫だよね』

「……うん！いつでも来て！」

『千代ちゃんのために頑張るよ～～～～』

「え？せめて泉君のためって言いなよ～」

『や、やだよ！私、千代ちゃん大好きだから！』

Aちゃんとこんな話が出来ると思ってなかったな、いつか私も、何か進展すればいいけど。そう思いながら、明日の約束をして、電話を切った。

不幸体質が、いつか幸せになりますように。

新人戦、優勝できますように。