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『孝介の試合、応援に行くからー!!』
『おう!』
無邪気に笑い合ったあの遠い日々を思い出して、テレビを見つめていた。対美丞大狭山は、劣勢のまま試合の終盤を迎えている。
研究、されているんだな。ピッタリ合わされて、対策を講じれば更に読まれてしまう。頭をフル回転させた試合をいくつもこなす彼らが、ずっとずっと雲の上のような存在だ。
「A、はやく食べちゃって」
「あ、ごめんごめん」
「……行きたいなら、行けばいいのに」
「言ったじゃん、家の外に出たら不幸が降ってくるんだよ」
そう、私は不幸体質。
ジャンケンはいつも負け。ゲームも通信困難とマッチングの不良、ガチャもすべて大爆死。
……大好きな人の試合を見に行けば、負けてしまう。
私は勝ってほしい。喜ぶ姿が見たいから。応援に行くのをやめた。
今日は部活がオフだ、みんな西浦の応援ということで大会がない、もしくは近くない大体の部活がオフになっている。昼ごはん兼おやつのシリアルを食べながら、耳を劈くほどの大きな歓声と走り出す男児を、松葉杖を片手に、背番号1の投手の肩を引き寄せる捕手を見た。
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作者名:郁 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年12月2日 1時