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ダンスのレッスン中は黙々と踊り続けているから何も感じない、けどレッスンが終わると一気に現実と直面する。
｢〜〜〜〜｣
同じ練習生の女の子が話しかけてくれたのに、聞き取れなくて 分からない とジェスチャーをしてしまった。
これからここで暮らしてくのに、まだこんな事を言っている自分が情けなくて練習室を飛び出した。
じんと目頭が熱くなっていくのが分かる。
情けない……無力な自分が情けない……。
自販機の横のベンチに腰掛け、泣いてるのを見られたくなくて頭を下げていると前を通り過ぎた足音がまた戻ってきて私の前で止まった。
｢大丈夫です、大丈夫だから｣
その人の顔を見ずにそう言うと、目の前に座り目線を合わせて手を取られた。
｢全然大丈夫じゃないでしょ｣
その人の韓国語はゆっくりで、心地よい低音で凄く聞き取りやすかった。
思わずバッと顔を上げると両頬にえくぼを作り柔らかい笑顔で微笑んでいたのがあの頃のジェヒョンだった。
｢凄い…聞き取れる…｣
私がそう呟くときょとんとした顔をし、｢どこから来たの？｣と尋ねてきた。
｢日本から来ました｣
たどたどしい韓国語でそう話すと、｢あ！｣と思い出したように立ち上がり｢着いてきて｣と言った。
言われるがまま着いていくと、そこは男の子の練習室だった。
扉を開けると沢山の男の子が一斉にこっちを見たから、恥ずかしくなってジェヒョンの後ろに隠れたのを今でも覚えてる…笑
YT ｢ジェヒョン！その子誰？？｣
JH ｢丁度ユタヒョンに用事があって｣
YT ｢ん？どしたん？｣
目の前で私を見ながら何やら話している2人。早口であまり聞き取れなかったんだけど、ユタヒョンと呼ばれていた人が私の手を取り練習室を出た。
｢あ、あの…｣
YT 『日本から来たんやって？』
｢え………｣
聞き間違いかと思った。
彼の口から発せられたのは私がずっと聞き慣れていた母国語だったから。
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作者名：マンネ
| 作成日時：2022年11月17日 20時
