傘屋の直吉と浪人直己…弐

盥で湯浴み……陸 ページ8

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「雨の日に捨てられた仔犬みたいですなぁ〜

フフフッ……ハハハァ〜〜

世が、綱吉様の時代でなくて

宜しゅうございました……危うく

ワンコ虐待の咎で、お縄になるところ

でしたわぁ〜〜ハハハァ〜〜」




と、高笑い……





直吉『むぅ〜〜ぅう〜〜侮蔑発言赦すまじ

……こうなったら必殺技……』







直己「はぁ〜〜？……今度は、なんです？」







『ブルンッン、ブルンッン、ブルンッン

ブルンッン、ブルンッン、ブルンッン

ブルンッン、ブルンッン、ずぶ濡れ攻撃〜〜』





身体中、クルクル、クルクルと

右に左に回転させ、水しぶきを飛ばし

お座敷犬が、クルクル回る……






直己「フッ、確か、綱吉公のお座敷犬は

唐の国の犬とか？……ちんって名前でしたね



『ハァ〜〜なんだよ』



フッ……



直ちんは、身体ブルンブルンさせて

寒いのかなぁ〜、寒い思いさせちゃ〜〜

拙者、番屋で、取り調べですなぁ〜〜

ハハハァ〜〜ハハハァ〜〜」





豪快に笑い出した……お侍は、もう

止まらない……





直己「5代目将軍公であれば、きっと

ずぶ濡れワンコでも、畳の上座の高い

席で、身体をブルッンブルッンして

水しぶきを飛ばしたって、叱られや

しませんからね〜〜」







直吉『俺は、ワンコでも、直ちんでも

人ちんでも、無いわぁ〜〜

だいたい、なんで、生類憐みの令で

おまえが、お縄頂戴するんだよ〜〜

俺は、可愛い人間なの〜〜、今の将軍は

生類憐みの令を、発令してないからね〜〜

だいたい、綱吉公の時代に、生きてない

からね〜〜』







直己「……知ってます…………本気に

なさったんですか？……

驚き過ぎて、片腹いたし事この上ない……」







『くぅ〜〜』っと

悔しげに、奥歯を噛みしめたのは

ちんと、言われた方だった…………
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