傘屋の直吉と浪人直己…弐

散りぬる……参 ページ40

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A「なんだか、寂しいですね」


パツ臣「……古今和歌集を詠むなんて

どこの傘屋が、詠むんだい」


A「古今和歌集ですか、、、

パツ臣ちゃんは、なんでも知ってて……

それにひきかえ私なんて……はぁ〜〜」

つい愚痴の様に出てしまった言葉に



パツ臣「そうさね〜〜さぁ、さぁ

あんな2人は、置いといてゴザを

広げようかね〜〜」



A「なんだか違う人みたい……」



パツ臣「Aちゃん、さぁ

おはぎ食べようじゃないか、こら〜〜

さっさと食べちまわないと

日が暮れちまうじゃないかい」




ポツンと、置かれたお重を取り




パツ臣「さぁ〜〜あたしは、きな粉を

頂こうかね〜〜」


寂しげなAちゃんを促し

近くの桜の木の下へゴザを敷いて

風呂敷つづみを広げ



A「パツ臣ちゃん、、、」



Aちゃんの背中に手をやり

優しく笑いかけ



パツ臣「Aちゃん、さぁ〜〜食べよ〜

Aちゃんの作った、つぶつぶあんこ

美味しそう〜〜」

その声にピクッと小さな背中が動き



直吉『あぁ〜〜俺のつぶつぶあんこ〜〜』


振り向いた顔は、舞っていた時とは

打って変わったニコニコな表情で




直吉『Aちゃ〜〜ん、俺もつぶつぶ

〜〜』




走り駆け寄る直吉っつあんの前に


直己「お先に、ご免」


ひらりと前に立ちはだかり

ササッ、ストンとゴザに座ると


直吉『あぁ〜〜こら、直己〜〜

エセ侍め〜〜ふざけんなよ』




怒ることばとは裏腹に

変わらずニコニコな笑顔に


A「やっぱり、お二人は笑ったお顔が

1番お似合いです。」


花びらが、つぶつぶあんこの上に

乗ったのが、口に入ったとか、

入らなかったとか

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