傘屋の直吉と浪人直己…弐

ようこそ江戸へ……伍 ページ22

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Aside

直吉『めっちゃ勝蔵さんに叱られたよ〜〜』

と、言いニコニコしながら、手にして来たのは

たくさんの、菜の花……




A「うわぁ〜〜菜の花きれいですね〜」




直吉『うん、盥を壊してごめんなさいって

言って、カケラと、鰹節持って謝ったら

逆に奥さんにありがとうって

言われて、咲いちゃって食べれないけど

良かったらって。」




菜の花を両手に持って

顔を埋め匂いを嗅ぐ彼


…

その姿が、ふわふわと幸せそうで

穏やかな佇まい……


「キュン」


っと、胸が音を立てた気がして


なんだろう


こんな気持ち……




胸の、キュッと締めつけられてる……




私………死んじゃうのな？






直吉『Aちゃん、パツ臣ちゃんも

いるかい？良かったら、持って行きなよ』





手早く水切りをして

濡らした手ぬぐいを、切り口に巻き

障子紙で、くるりと巻いて

編んだ紙で、縛ってくれた




パツ臣「なんだか、手慣れてるねぇ〜

前の仕事は、花売りだったのかい？」




直吉『えぇ〜〜違うよ〜〜』



と、言いながら菜の花を

手折りながら生け始め

菜の花だけなのに

生き生きと、春が香り始めて

小さな座敷に、灯りが灯された



隆「へぇ〜〜なんか、やっと長屋にも

春が来たって感じだね〜〜」




直己「さすが、師匠。」




A「えっ、直吉さんは、お花のお師匠さん
なんですか？」




直吉『…………(直己はバカか？)……ただ

花が好きなだけだよ……』




直己「あっ……」


まるで、助け船を出すかの様に



隆「直己さん、着物が、裏表が逆だよ〜〜

直したら？」



直己「あっ……」



慌てて、後ろを向き

スルスルと帯を解き

着物を


「バサッ」


A「きゃあ〜〜⁈」


パツ臣「こらぁ〜〜後ろを向いたって

お尻が丸見えなんだよ〜〜嫁入り前なんだからね〜〜」


と、言って
私の肩を後ろに向け


パツ臣「大丈夫かい？」


優しく肩をヨシヨシとしてくれた。




直己「失礼つかまった、直ぐ着替えるで御座る」




直吉『でも、パツ臣ちゃんは、見て良いのかい？』

ニカニカ笑いをこらえてる傘屋に




隆「だぁ〜〜め〜〜」

と、後ろからパツ臣ちゃんの目を覆い



隆「パツ臣ちゃんは、俺だけ見てれば良いの」



パツ臣「////」

若旦那の両手から、隠れた両目以外が

真っ赤になった、パツ臣ちゃん



隆「他所の男なんか、見ちゃダメだよ」

と、優しく耳元で囁いた………


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