傘屋の直吉と浪人直己…弐

ようこそ江戸へ……弐 ページ19

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隆「……ようこそ江戸へ…って…………」





パツ臣「いやね〜〜あの二人が……盥の

上でいちゃいちゃするから、ついつい……」





隆「ついつい？」






パツ臣「盥に乗っでもどんぶらこっこ

どんぶらこっこってさぁ〜〜

ねぇ〜〜Aちゃん？」





A「えっ⁈……盥で、どんぶらこっこって……

アレですか？山へ芝刈りに、川へ洗濯にって」





直吉『そう、そう、川上から、大きな桃が

どんぶらこっこ、どんぶらこっこと流れて

来て、おじいさんやぁ〜〜刀で

パッカ〜〜ンと、割ってくださいなぁ〜〜



直己「はい、パッカ〜〜ン」



そう、桃の中から……って、お〜〜い

桃太郎じゃんそれ〜〜』





直己「ガ〜〜ン……おじいさん役……って」





パツ臣「違くて、あたしが、言いたいのは……

川上から、お椀に乗ったコビトが、流れて

来て…………」






A「どんぶらこっこ、どんぶらこっこ〜」

Aちゃんの合いの手に、釣られて




直吉『そう、そう、針を刀の代わりに腰に

刺して、鬼のお腹の中で、大暴れして

鬼退治……



直己「はい、コレ」



そうコレ、コレ、鬼の落とした打ち出の小槌で

法師よ〜大きくなぁ〜れ〜〜

大きくなぁ〜〜れ、シャ〜〜ン、シャ〜〜ン

…………ぅっお〜〜い、俺は、一寸法師

じゃなぁ〜〜い。』






パツ臣「クックックッ〜〜」






隆「アレかぁ〜〜、小さな身体がひらりと

飛んで、橋の上で、ピ〜〜ヒャララ〜〜って」




直己「ピ〜〜ヒャララ〜〜？」




A「ピ〜〜ヒャララ〜〜って？」




隆「だからさぁ〜〜、夜中にデカイ奴が

橋をとうせんぼうして、なぁ〜〜」

と、侍……直己を見て





直己「あぁ〜〜……この橋を渡りたければ

その刀を置いて行け……ちんまい小僧！」




直吉『なぁ〜に〜〜、小癪な弁慶め〜〜

この牛若丸が、成敗してくれるわぁ〜〜』





「カンカンカン」

と、盥の残骸で、牛若丸VS武蔵坊弁慶を

演じる二人…………





A「パツ臣ちゃん、若旦那。長く

なりそうだから、お茶にしましょう〜〜」





パツ臣「クックックッ〜〜段々、分かって

来たじゃないかぁ〜〜Aちゃん」




隆「鰹節削る？」



笑いながら首を横に振った

パツ臣ちゃんとAちゃんであった…………
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