傘屋の直吉と浪人直己…弐

濡れ鼠と女達……参 ページ12

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「クックックッ」と笑うパツ臣ちゃんを他所に





直吉『なぁ〜〜、おまえやっぱり、横須賀

行けよ〜〜』






直己「はい？」






直吉『俺の奥さんが、こんなデカイと

思われたら、イヤだも〜〜ん』







直己「…………こっちの台詞だし」






パツ臣「大きさから言ったら、直吉っつあん

の方が、奥さんじゃないのかい?」







直吉『えぇ〜〜イヤだよ〜〜』







直己「はい、これ」






直吉『そう、そう、髪に差して

あら、貴方、私に似合うかしら？…………

…………って、お〜〜い、これ、かんざしだし

俺は、おまえの奥さんじゃな〜〜い』







パツ臣「じゃあ〜〜これは?」







直吉『そう、そう、これで髪を梳かして

おくれ毛を直して、みだれた髪は

布団の中でね…………って……櫛を、差したら

って、お〜〜い、パツ臣ちゃんまで〜〜』








パツ臣「クックックックッ〜〜」

両肩を揺らし、笑いを堪えるパツ臣ちゃん







直己「はい、これは…」







直吉『そう、そう、このヒモをはらりと

引っ張るだけで、あら、帯が……クルクルと

あれ〜〜ご無体なぁ〜止めて〜〜

おくれやす〜〜……旦那はん…あゝ〜〜って

……おい……俺に帯ひも、渡してどうすんだよ〜〜、』






直己「段々、乗って来ましたね〜〜(汗)」








パツ臣「なんで、京都弁……」







直吉『も〜〜う、兎に角、俺は

素敵な奥方様じゃないのぉ〜〜

直己なんか、こうしてやる〜〜〜〜』

と、褌姿に、帯を締めずに、羽織った

着物姿のまま、侍の、広い背中に飛びつき

帯を締めるのを、邪魔して







直己「おっ、降りてください。」

振り落とそうと、首に巻き付いた傘屋を

一本背負いしようとするが……







直吉『させるかぁ〜〜』

赤い彗星に立ち向かう若武者が

ごとく……しがみつく傘屋さん……





狭い部屋を、ぐるぐる回る

傘屋と侍……






A「うっ⁈」






直己「あっ⁈」






座敷で、横になっていた、Aちゃんの

足につまづき……

バランスを崩し……






直吉『あゝ〜〜』

はだけた着物が、めくり上がり

褌姿のまま……

傘屋のお尻が





A「グッフッ」っと

Aちゃんの顔の上に

ナイスオンしたのは

……隣の家のお軽さんが、ぬか漬けの

大根を……

「ポン」っと

糠床から、出したのと、同じ頃であった……
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