73. 過去の真実 ページ25
A ｢言っておくけど私、別にあなたを許したわけじゃないから｣
父 ｢……｣
A ｢大体、初対面で実の父親ですって言われて、顔も知らないのにどうやって信じればいいの？｣
父 ｢…そうだな｣
すると、一枚の写真をテーブルの上に置いた
父 ｢これは昔、まだAが幼いときにAとAの母さんと僕の3人で撮った写真だ｣
A ｢っ…｣
父 ｢Aは覚えていないと思うが、前は月に一度だけ会うことをヨンアが許してくれた。だから、そのときは3人で普段行かないような場所に出かけて、その度にこうして写真を残していたんだ｣
A ｢ならどうしてあなたは、お母さんと私のことを捨てたの？｣
父 ｢それはっ……家は他とは違う。学生のときから将来が決められていて自由なんて全くなかった。でもヨンアと出会って僕は変わった。それから彼女に惹かれて駆け落ちしようとしたんだ。でもそれが家にバレて、別れるように言われた｣
A ｢それで、あなたはなにも言い返さなかったの？｣
父 ｢もちろん言い返した。でもまともに聞いてもらえないまま婚約を早められた挙句、別れなければヨンアの今後はないと脅されたよ｣
BoA ｢……｣
父 ｢だから仕方なく離れることにした。だが、それから少し経ったあとに、ヨンアのお腹の中にいる子供の存在を知った。それがA、君だ｣
A ｢……｣
父 ｢僕は、ヨンアとAを守りたかった。そばにいられなくても自分なりに2人を陰から支えようと決めたんだ。でもヨンアにAの成長をちゃんと見届けてほしいって言われたんだ｣
父 ｢できることならそばにいてAの成長を見ていたかった。だけどそれはヨンアとAを危険な目に遭わせることになる。だから大人しく父の言うことを聞いて、月に一度だけ会うことは何度も頭を下げて許してもらったんだ｣
A ｢…どうして今になって会いたいなんて言ったの？あなたには家族もいるんでしょ？｣
父 ｢遅くなったことは本当に申し訳ないと思ってる。やっとAと会う覚悟ができたんだ｣
A ｢…随分自分勝手なんですね｣
父 ｢すまない｣
A ｢…もういい。理由は分かりました。でも、もう二度と会いたいとか言わないでください。私は私でお母さんが残してくれた、みんなが作ってくれた居場所があります｣
父 ｢A…｣
A ｢話は以上です。失礼します｣
BoA ｢ちょっ、A！｣
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作者名：NATZU | 作成日時：2021年10月1日 2時
