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冬哉side
目がさめると闇はそのまま、他の3人はいろいろなところで寝ていた。萊都は床、時雨は俺の隣、歩は椅子の上。
よく寝れるな……。
「……あ、おはよ。寝とった……。」
闇は起きた。寝る前より体調はよさそう。
「……ありがとう。」
「いえいえ。」
闇はまたこっちに寄りかかった。
あ、誰か起きたら体温計とってもらお。
「闇、寒くない?」
「……うん。」
闇はかけてあった毛布をかけ直した。
……まだ少し寒いのか?
俺は闇を抱く力を少しだけ強くした。
「……んふふ。ありがとう。」
闇は目を閉じた。
「……冬哉くんの心臓の音、聞こえるー。」
「ふーん。」
闇はそれが落ち着くのか、その体勢から動かない。
ま、いいか。
「ん、あ、おはよ。」
「あ、おはよ、歩。」
二番目が歩か。いや、三番目か。
「歩、体温計とって。」
「はーい。」
歩は体温計をとって俺に渡した。
「闇、体温計って?」
「……はーい。」
闇は俺の手から体温計をとって体温を計り始めた。
ピピピッ、と音がした。
「……36.3。」
「おー1°C上がったな。」
ならちょっとは楽になったか?
闇は体温計を歩に渡した。
「……冬哉くん、お話していー?」
「いいよ。」
闇は立ち上がった。
「……別の部屋がいー。」
「わかった。歩、二人が起きたら別室にいるって言っといて。」
「わかったー。」
俺と闇はリビングを出て別室に行った。
闇はさっきの毛布を抱きながら言った。
「……なんで僕の耳が悪いんか、っていうの。僕ね、小さい時にお母さんお父さんは交通事故で死んじゃったんだ。それで引き取られた叔父さん叔母さんに暴力されたり暴言言われたりしとってね、それのせいで耳が悪くなったんや。」
みんな、いろんな過去があるんだなぁ。
「……それで叔父さん叔母さんは通報されて、捕まって。僕は施設に入れられた。だけど耳が悪くて反応も遅かったりして周りの子にいじめられとった。時雨くんが来るまで、な。時雨が来て同じ部屋になって、僕がいじめられてると助けに来てくれたり。次第にいじめはなくなっていった。」
……いじめか。
「……それで小学校ではいじめられそうになると時雨くんや新しく友達になった萊都くんや歩くんに助けてもらったんだ。中学校では冬哉くんに会った。中学校でもいじめられそうになったとき、助けてくれた。ほんとに嬉しかったよ。」
そんな風に思ってくれてたんだ。
なんか、嬉しい。
俺は笑った。
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夏夜桜 - 夢華さん» 面白いんですか?ありがとうございます!更新頑張ります。 (2019年1月9日 22時) (レス) id: dbd4689f32 (このIDを非表示/違反報告)
夢華 - とっても面白いですね!更新楽しみにしてます!がんばって下さい! (2019年1月9日 18時) (レス) id: ceff9b5b24 (このIDを非表示/違反報告)
夏夜桜 - 更新頑張りますね!何かあったらコメント欄に行かせてもらいます。設定ありがとうございました。 (2019年1月8日 21時) (レス) id: dbd4689f32 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 購入ありがとうございました。応援しています!更新頑張って下さい。なにがあればご連絡下さい。 (2019年1月8日 21時) (レス) id: 930f4adcc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夜桜 | 作成日時:2019年1月8日 20時