夏の魔法３

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「部下の前に彼氏やもん。
彼氏のお願い聞いてや」


むぎゅって抱きしめて、
ちょうど唇の真下にある、

頭のつむじにキスを落とす。


それから・・・


身体、屈めて、もう一回、キスしようとしたら、
神ちゃんが、形ばかりの、可愛ええ抵抗見せる。

俺の胸押して、
俯いて。

煽られてるようにしか見えへん。

逆効果や。


「しげ。会社では、あか、」


最後まで言わせへんかった。


少し強引に重ねた唇。

神ちゃんとのキスはいつも甘い味がする。


ちっちゃな口してんのに、
ふわふわ柔らかくて。


俺を溶かしてまう。


離れたら、神ちゃんは、むうって拗ねた顔。


「しげのあほ」


「あほでええてす」


「開き直って、悪いやつ！」


「俺、手のかかる彼氏やから。
よろしくな？」


神ちゃんて、
天邪鬼さんなとこあるからな。


俺まで照れ屋発動してしもたら、
永遠とくっつかれへん。


「うん。
俺も、可愛い気ないけど、
よろしくお願いします」


「世界広しと言えど、
神ちゃんより可愛ええ人、
俺、知らんで？」


手を引いて、椅子から立ち上がらせて。

腕の中に閉じ込めた。


窓から入り込む、
少しひんやりした風が、
心地良くて。


こんなにも、
身体も心も、しっくりくるんは、
神ちゃんやから。


ずっとずっと大切にしようって、
胸の中で誓った。









こうしてめでたく付き合い出した俺ら。


まだ、付き合いたてほやほやで、
自分で言うのも何やけど、

手探り状態の初々しいが過ぎる期間。


付き合い長いし、
仕事でもいつも一緒やし、
知らんことなんかなさそうに思うてたのに、

結構、え？って思うような発見あったり。


知れば知るほど、神ちゃんを好きになる。


神ちゃんて、意外にも甘えん坊さんやねん。


人前では見せへんねんけどな。


俺の前では、
ふにゃあって、猫みたいになる。


ちょっとツンツンしてんのも、
ほんまの猫みたい。


かあわいいねんなあ。


今日は先月から決まってた出張。


俺からしたら、はじめての二人旅気分。


そら俺も男やし？


夜は、もしかしてもしかする？って、
期待してまうやんな。

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