夏の魔法３

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「しげがいきなし枕投げ始めたよな。
まだクラス替えして間もなくて、
みんな馴染んでなかったのに。
あれで一気に仲良なった」


「そうやったっけ。
とにかく毎日ゲラゲラ笑ってたなあ」


「うん。
高校時代は、俺の、アオ、」


神ちゃん、言いかけたくせに、やめてもうた。


「ん？アオ？」


「アオハル言おうと思ただけ！」


そんな照れるぅ？可愛え。


「ほんま、これぞ青春やったよな！
神ちゃん、制服めっちゃ似合うてたな」


高校時代にタイムトリップしかけとったのに。
　

「それより、しげ、
今日行く取引先の情報、
ちゃんと頭入ってる？」


突然の鬼の神山課長、
仕事モード。


「大丈夫やで。
予習はバッチリ。
なあ、神ちゃん、
なんでそない顔赤いん？
制服似合うてた言うただけやのに」


からかったら、
可愛ええほっぺた、更に赤さしてさ。


「別にええやんっ。
しげのあほ」


ぶいって、窓の外の方、向いてもうた。


「ごめんって。
からかっただけやんか」



周りに誰もおらんのを確かめてから、
綺麗な手を取って、ぎゅっと握りしめる。


「外で何するねん」


「誰も見てへんし」


不意打ちで、頬にキスしたら、
目をまん丸にした。


「可愛え」


「仕事中やで。
次、そんな事したら、始末書やで」


「えー、厳し。
なんて書くん？
上司といちゃついてましたとか？」


「・・・ほんまに怒るからな」


「神ちゃん、可愛え」


「俺、怒ってるねんからな！」


「あいあい。可愛え」


神ちゃんて、なんでこないに可愛ええねやろ。


世界中の何より可愛ええ。


大切な宝物や。


余裕で守れる男にならなあかん・・・









空港で待っててくれた、
松岡さんて人が、

流星に負けず劣らず、
高身長イケメンでさ・・・


神ちゃんから、
すっごい年上やて聞いてて、

普通に腹出たおっちゃんかなて、
なんとなく想像してたから、

正直、びっくりした。


神ちゃんが新入社員の頃、
松岡さんはまだ東京勤務で、
めちゃくちゃ世話になってんて。

飛行機の中でも、
いかに松岡さんが、

大人で面倒見が良くて、
男気があって、
素っ気ない優しさに溢れた人なんか、

さんざん聞かされたし。


どへえー。

もやもや。

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